彦四郎の中国生活

中国滞在記

ディープ(deep)な生業(なりわい)に生きる人達(一族)

2015-01-18 12:22:11 | 滞在記

  宿舎の近くで毎週末の土日に数千件の露店市が行われている。先週に出かけてみたら、新しくできた河川公園の広場にたくさんの人だかりができていた。音楽もかかっている。「何だろう?」と行ってみると、雑技のようなものをやっていた。人垣の後ろから覗(のぞ)いてみると、大人の女性が両足で長い梯子(はしご)を支え、その梯子の上で小学生(4年生ぐらいかな)の女の子が曲芸をしていた。

  それが終わると、「猿の曲芸」。小さな自転車に乗ったり、竹馬をしたり。

 そして、それを見ている人達。中国では時々見かけるが、パジャマを着ている女性の姿も。猿の曲芸が終わると、今度は違う曲芸が続く。これは いったい何の「曲芸団」だろうと思いながら見ていた。観客からお金を集めている気配もない。子供・大人が総勢20人あまりの「団」だ。なんとなく、一族郎党でやっているように思う。

 見始めて30分~40分が経った頃だろうか、大きな青いポリタンクが舞台に運ばれてきた。そして、その前で男性が椅子に座った。立ち上がった男性の両肩・両腕を、他の男性2人がかりで、回転させた。「肩の関節」は大丈夫だろうか。座らされた男性の両肩に、青いポリタンクから汲まれた液体が塗られ始めた。マッサージをするように塗られていた。あの液体は何だろう? しばらくすると、ポリタンクの中から大蛇が出され始めた。

 大蛇に続いて、様々な種類の蛇が30匹余り引き出され、ワニや大きな亀まで出されてきた。そして、いろいろな植物。大きな霊芝もあった。

 観客に赤いパンフレットが配られ始めた。「骨痛追風酒」(雑技団専用)と書かれている。ここで、ようやく分かった。この薬酒を売るためにさまざまな芸をして人を集めていたんだということが。「この薬酒を買う人は手を挙げて!一本10元(200円)!」と呼びかけると、沢山の人が手を挙げている。お金を出しながら、手をあげている。

 ポリタンクから汲まれた「こげ茶色」の液体を小さな入れ物に入れて、手が挙がっている人たちに向かって走っていく団の大人や子供たち。おそらく、50本~70本は売れたのではないだろうか。なかには、3~4本買っている人もいる。50本が売れたとして500元(1万円)の収入だ。それにしても、飛ぶように よく売れていた。

 その場を後にして、露店を周っていたら、12時ごろに「団」の人達が別の場所に移動するのだろうか、沢山の荷物を持ちながら通り過ぎて行った。午後は、違う場所で商売をするのだろう。中国各地を転々と旅をしながら、「芸」をしながら「薬酒」を売り歩くこの一族郎党の人達。まあ、なんと「ディープ(deep:深い)な生業(なりわい)、世界に生きている人達」なんだろうと思った。
 宿舎に帰ってから、渡された「赤いパンフレット」を詳しく読んでみた。効用は、「頭痛・関節痛・頸椎の病気・あらゆる炎症・肌の傷・手足の麻痺・痒み・打撲・……。」など多くのことが記されていた。材料として、「7種類の蛇・タツノオトシゴ・亀・ワニ・霊芝・など」「多くの種類の薬草」を「50度以上の酒」に漬けて作ることが書かれていた。「買えばよかったな…。」と思った。
 製造元は、河南省南陽市の「長城武術雑技学校」と記されていた。河南省から来たのだろうか。