浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ヒンデミットのホルン協奏曲 デニス・ブレインのホルンで聴く

2012年03月03日 | 自作自演
ヒンデミットの作品は親しみやすい印象を持ってゐる。完全な無調音楽であるのに、何故、親しみやすく感じるのか?デニス・ブレインと作者自身による演奏を聴きながら考えてみた。

対位法的な手法で書かれた第1楽章では、分かりやすいリズムの反復とフーガの技法を取り入れた動機の反復によって非常に親しみやすさを感じることができる。

第2楽章ははっきりとした動きが見え、2分弱の分かりやすい音楽である。

第3楽章の演奏時間は全曲の3分の2を占め、6つの部分から成り、難解に思はれる方も多いだらう。途中、一つの動機が繰り返し登場する部分もあるが、第1楽章のやうに聴きやすいわけではなく冗長で陰鬱である。なにか具体的な中身があるやうには感じられず漠然として面白くない。

前半に分かりやすい音楽が配置されてゐて、後半はいまふたつである。といふことから、第一印象で親しみやすい印象を植え付けられてゐたことが分かった。つまり、作曲を志す者ははじめが肝心であるといふことを示してくれてゐるのだ。

ある識者はモーツァルトが天才的多作家であるのに対して、ヒンデミットは「多くの要素の根拠が回避される方法で追求されてゐる」と評してゐる。この発言の主はヒンデミットの良き理解者だったはずのWF氏である。

評価の定まらないヒンデミットではあるが、近代独逸音楽界の中で独自の世界を創り上げたことに違いはない。未だ聴いたことのない作品も多く、素晴らしい出会い多かれと願ってゐる。

盤は、国内東芝によるリマスタリングCD。
R.シュトラウス/ホルン協奏曲集
ブレイン(デニス)
EMIミュージックジャパン


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