浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

コダーイ自作自演によるテ・デウム

2009年06月07日 | 自作自演
コダーイの自作自演はLP時代に幾つかの録音が残されてゐて、学生時代から関心を持ってゐた。管絃樂の為の協奏曲は一度取り上げたことがあったが、今日は合唱作品を聴いてゐる。

コダーイの作品は多くのジャンルに亘り、特に洪牙利の音楽振興に視座を置いた楽曲が多いやうだ。教育音楽や合唱作品など、プロではない人々が自國の音楽に触れる機会を増やす狙いがあったものと思はれる。

テ・デウムには民俗的な節が登場しお国のカラーが味わえるが、僕としては対位法の作曲技法の素晴らしさの方に耳が向く。コダーイらしさを感じるメロディが巧みな対位法によってフーガ風に展開していくところなど、かなり興奮させられる。

コダーイの指揮については前回も感心させられたが、今度は合唱と管絃團である。指揮を本職とする巨匠クラスでも合唱に対してはそこそこの指示を出して流していくやうだ。しかし、コダーイの新作にもかかわらず、この合唱團はよく訓練されてゐるとみえて、作者のタクトにきちんと反応し一糸乱れない。全体に熱っぽい表現なのは、敬愛する作者、コダーイ自身の棒のもと演奏できる喜びからくるものか。コダーイ指揮洪牙利コンサート管絃團、ブダペスト合唱團によるLP初期のスタジオ録音である。

Te deum laudamus te dominum confitemur.
神を讃える祈りだ。
愛犬は病魔と闘ってゐる。
明日は見舞いに行けそうにもない。
遠くから祈り続けることにしやうと思ふ。

盤は、米國ARTIA Recording Corp.によるLP盤 ALP-152。


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