浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

プロコフィエフ提琴協奏曲第壱番 自作自演

2010年09月18日 | 自作自演
プロコフィエフの提琴協奏曲第壱番を作者の指揮、オイストラフの提琴で聴いてゐる。半音階を多用した妖しい雰囲気を持つ第壱楽章に始まり、古典交響曲の語法で少し時代を先に進めたやうな第弐楽章が印象的だ。物語性のありそうな第三楽章は親しみやすく、全体でも20分弱の短い作品だが、個性的な輝きを放ってゐる。

提琴協奏曲の自作自演盤があることはつい先日まで知らなかった。プロコフィエフの自作自演と云へばピアノロールを含む洋琴独奏やコッポラとやった洋琴協奏曲第3番など、洋琴家としてのプロコフィエフの凄腕は有名であるが、指揮者としての録音は初めて聴く。他にもロメオとジュリエットを残してゐるが、未だに未聴のままだ。

いつ頃の録音だらうか。真白い女の腿をつるつると撫でるやうに第壱楽章は始まる。LP初期のものだと思ふが、提琴の高域が少々荒々しく聴こえるのが残念だ。録音のせいなのかオイストラフのせいなのか・・・僕には少し気に入らない。しかし、作者自身の指揮によるためだらうか、管絃團は精緻な表現を心がけてゐるやうに聴こえる。立派な心掛けだ。

こうなるとミュンシュとハイフェッツに拠る米國LSC盤で親しんだ名曲、第弐協奏曲を自作自演で聴いてみたくなる。ところで、写真で見る作者はなかなかお洒落ではないか。帰国後、露西亜の土着民たちに仏蘭西のきざ野郎と罵られたのが何となく理解できる。それにしても、ナインティナインの岡村隆史とは親戚だらうか。

盤は、仏蘭西EverestのCD ARG015。


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