浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

「NHKに殺された」尾高尚忠のフルート協奏曲

2008年06月08日 | 日本國の作品
過労により39歳でこの世を去った尾高尚忠の死を悼んで、野村ピカイチ氏が毎日新聞に寄せた記事がある。そこには「尾高を殺したのはNHKである」といふくだりがあるそうだ。戦中戦後の混乱期に新響、日響を導いた尾高は、N響を見ることなく夭折した。

今、その子息がN響を振ってゐるが、友人Sがその尾高忠明に指揮法を学んでゐた頃、僕にその様子を教えてくれたことがあった。打点を明確にする練習で、腕が腱鞘炎になりそうだともらしてゐたのを覚えてゐる。

久しぶりの休日、日曜日の朝に相応しい尾高のフルート協奏曲を久しぶりに聴いてゐる。作曲をクラウス・プリングスハイムに、指揮をワインガルトナーに、洋琴をレオ・シロタに学んだ経歴のある尾高は、生きてゐれば世界的な音楽家としてN響とともに多くの作品を残し、世界をまたに演奏旅行を行ってゐたことだらう。貴志康一と同様、戦前の独逸・墺太利で音楽文化を吸収し、伯林フィルの指揮台に立ち、自作品を振った大音楽家は「尾高賞」にその名を残すが、残された作品や演奏が正当に評価されているとは思へない。

このフルート協奏曲も素晴らしい作品であり、日本國の名作の一つに数えられるべき作品だと思ふ。ホルン、ハープ、弦樂器といふ小編成のオーケストラとともに演奏される爽やかで懐かしい曲想の此の曲を知らない方は、是非一度聴いてみられるといいと思ふ。我が国初の管絃樂作品がこの世に紹介されてから僅か36年。驚くべき早さで西洋化してゐたことがよく分かる。

独奏、吉田雅夫、岩城宏之指揮NHK交響樂團による演奏である。

盤は、キングレコヲドによるLP SKR1012。

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