浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ゲオルグ・クーレンカンプ&ヨッフムによるドヴォルザーク協奏曲

2006年10月09日 | 提琴弾き
クーレンカンプは1898年生まれの独逸の提琴家で、フーベルマン、カール・フレッシュらと親交があり、カザルスから多大の影響を受けたとされてゐる。小児麻痺を患い、生涯病弱であった彼は、1948年に50歳の若さで逝ってしまった。1937年に発見されたシューマンの提琴協奏曲の初演を行ったのもクーレンカンプである。

クーレンカンプとの出会いはフルトヴェングラーとやったシベリウスだといふ方は多いだらう。僕も中学生の頃に続々と発売されたDXM盤がその出会いのLPであった。
1930年代には独逸テレフンケンにいくつかのレコヲドを残してゐるが、今日はその中からドヴォルザークの協奏曲を聴いてゐる。

チャイコフスキーの協奏曲では線の細さが目立ってしまうが、このドヴォルザークでは高域の美しい音色が生きてゐる。フーベルマンのやうな力強い演奏をする人ではないが、「内面から沸き起こる衝動の筋肉運動への移行とその過程の法則化」の研究に没頭してゐたといふだけあって、熱い想いのたっぷりと詰まった浪漫的な演奏が聴ける。ここぞといふところにはポルタメントを連続して使うあたりにやや前時代的なスタイルを垣間見ることができる。

伴奏を受け持つのは、若き日のオイゲン・ヨッフム指揮する伯林フィルハーモニーだ。戦前の伯林フィルのレコヲドはすべて蒐集しておきたいくらい、素晴らしく奥深く荘厳な響きを持ってゐる。ただ、このLP盤の復刻技術はあまりよくない。美しい音でリマスターされたCDを購入し直してみたいと思いながら聴いてゐる。

盤は、キングレコード株式会社のSP復刻LP MZ-5110。


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