Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

黒く濁る村(ネタバレ注意)

2011-01-06 16:31:33 | 映画
皆様、新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

新年1発目の映画は、なんと韓国映画(笑)。というもの、年末にバーレスク、トロンと観てしまったので、その次に観たいのがそんなに無くて(笑)。ハリポッターは挫折してるし、ロビンフッドはどうも興味は出なくて。ということでこの韓国映画を新年そうそうに観てきました。

ここで内容を・・・


ヘグク(パク・ヘイル)は、長い間音信が途絶えていた父(ホ・ジュノ)の死を知り、生前彼が暮らしていた村を訪れる。村長(チョン・ジェヨン)の指揮により葬儀は滞りなく行われるが、村人たちは父親の死因について固く口を閉ざしていた。自分に対する彼らのよそよそしい態度や、父の死に違和感を覚えた彼はしばらく村に残ることにする。

って書いてあります。

でも、これ、あんまりなんにも知らないで観たほうがいいように思います。


ここから、ちょっとずつネタバレしてますから、観ようと思っている方は、あんまり詳しく読まないほうがいいですよ(笑)。


わざわざ、劇場で観なくてもいいかもしれませんが、けっこう長い映画なので、家で観るとダレてしまうかもしれません(笑)。

あと、一言。かっこいい人は誰も出てません(笑)。


韓国のサスペンス映画はなかなかうまいなぁって思いました。これ調べたら、ウェッブコミックが原作って書いてありました。けっこう長い映画なんだけど、もっと良く知りたいって思うことがたくさんなんですよ。そこが惜しいと言えば、惜しいところ。まず、ヘググが検事から目をつけられている事件(この検事が最終的には助けてくれるのですが)がなんなのか全くわからないし、長い間音信不通だった父親なのに、どうしてそんなに死因にこだわるのかとか、あげたらキリが無いんです(笑)。でも、そんなことどうでもいいってくらい、役者のキャラクターが強烈で(笑)。日本なら絶対こういう役者さん達の使い方しないよなって思うくらい。村長にこびてる3人のキャラがすごいんですよ(笑)。その過去もまたすごい(笑)。一人なんか違法な売春宿をやってて、そこから逃げようとして、宿に火をつけた女達を焼き殺してしまうんですよ(笑)。その描写がなんとも韓国的で。

ここで、キリスト教と韓国の関係も深いんだなっていうのも思います。以前見た「渇き」でもキリスト教の神父の話でしたが、この映画でもキリスト教の教えが韓国の人々に深く広がっているんだなって思いました。物語は1978年頃から始まるのですが、ここで出てくる祈祷院という存在も不思議でした。その院長が悪徳刑事とつるんでいるっていうのも、おもしろかったのですが、この祈祷院で集団自決の事件がおきます。これはヘググの父がその近くて人々に教えを説いたせいで、祈祷院にくる人が減ったということも絡んでいるんです。

で、ヘググの父親が面倒をみていた、女の子が出てくるのですが、この女の子が実は物語の最後でとんでもないことを観客に突きつけてきます。

村長は、ヘググの父のカリスマ性を使って、人々をだまし、土地や金を巻き上げていたっていうのが、大きな流れ。で、ヘググの父はそれを黙認せざるを得ない状況でずっと暮らしていたんです。その村長や取り巻きたちの慰みとして、あの女の子が身体を提供させられていたということもわかってきます。だから、村長たちはこの息子がいろいろ嗅ぎまわるのが、邪魔でしょうがない。そこで、やはり殺してしまえってことになるけど、逆に死んでいくばめになるんです。

そして、最後はやはり村長。これもやはり自殺に追い込まれてしまいます。悪事が全部ばれてしまうからね。父親の死は結局自然死ということが村長から告げられるのですが。
ここまでで映画は終わりって思ってたら、最後にあの女の子が!そう、実は、息子を呼び出したのもこの女の子。そして、息子を使って、自分に辱めをさせていた3人に復讐したのも女の子!たぶん祈祷院で集団自殺として片付けられた事件もこの女の子!っていうことが、はっきりではなく、「なんとなく」わかってしまうというラスト。

これはなかなかおもしろいと思いました。僕は、たいていの映画で先を読んでしまうクセがあるのですが、この映画では、この女のこ(といっても現代では女性なんですけど)が幸薄そうな風貌と、仕方なくしたがっている演技だから、まったくノーマークだったんですよね(笑)。
だから、うへーってなりました(笑)。

韓国の映画ってこういうバイオレンスをからめた、ミステリーがなかなかおもしろいですよ。チェイサーもそうだったし(笑)。
暴力の描写が半端じゃないから(笑)。

他の批評では、あんまり評価が高くなかった本作ですが、僕は好きですよ(笑)。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿