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Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

善き人のためのソナタ

2012-06-12 13:33:39 | 映画
今回は2006年公開の映画「善き人のためのソナタ」について。



この作品、公開された時に観ていなくて、つい最近DVDで観たんです。ちなみに最近DVDを借りることがチラチラあって(笑)。というのもTSUTAYAの駐車場に車をとめないといけないことになって、DVDを借りると100円で2時間の駐車ができるということに気がついたからなんです(笑)。


まったくなんの知識もなく、「あっこれアカデミーにノミネートされてた」という感じで借りたら、すごく心を動かされる作品だったんです。

ここで内容を・・・



シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられ……。


と書いてあります(笑)。


でも、このあらすじ、ちょっと違うと僕は感じました。ヴィースラーは最初本気でライアンが反体制と考えていたし、その信念で盗聴しだすのですが、その時大佐がこのクリスタの体が目当てで自分達の権力を使用していることや、自分の友人である上司も自分の地位をどのように高くするかしか考えていないことに気がついて、自分が理想として働いてきたことと、現在の東ドイツの腐敗ぶりとのギャップから、この芸術家達が考えることが「正しい」のではないかと感じていくという感情がベースにあると思うのです。そして、美しい音楽と文学。これもヴィースラーを変えた要因でもありますが。

盗聴した報告書にウソの記載をしていく、ヴィースラーは自分で小説でも書いているような感覚になっていたのかもしれません。でも、あの大佐が自分に冷たくしたクリスタを逆恨みして拘留し、ゲオルクに不利な状況を聞きだそうとします。この時に尋問するヴィースラー。この前に大佐に体を預けるために出かけたクリスタとある酒場で出会ったヴィースラーは彼女に「自分を捨てないで、私はあなたのファンです」。と話をしているシーンがあるから、この尋問のシーンがまた辛い(笑)。でも証拠のありかを聞き出し、先回りしてその証拠を隠すのですが、クリスタは自責の念から自殺してしまいます。

このあと、ヴィースラーは党の中でも左遷状態となって、話が終わるのかと思ったら、ここでベルリンの壁崩壊の話が入ってきます。ここから、また話しが進んでいくんです。ゲオルクが自分だけ盗聴されていなかったと思っていたのですが、情報開示から自分の盗聴はウソの報告によって守られていたことを知ります。ここもちょっと感動するところです。自分を守ってくれたヴィースラーを探して見つけるのですが、声をかけずに立ち去ります。新聞配達のような仕事をヴィースラーはしているのを見かけただけで。そして、さらに2年の月日が経って、ヴィースラーは本屋でゲオルクの新しい小説「善き人のためのソナタ」を見つけます。これはベートヴェンの作品で劇中でも自殺した芸術家から送られた楽譜でゲオルクが演奏していた音楽。その芸術家はこの音楽を聴けば、根っからの悪人はいなくなるとメッセージを送っていました。その演奏を盗聴という形でヴィースラーは聴いていたんです。

本を手に取るヴィースラー。そこには自分のコードネームHGWに感謝の言葉が綴られてるのを見ます。本屋の店員が「贈り物ですか?」と聞くと、「いいえ、これは私のための本です」と応えて、映画が終わるんですよ。

ここで、涙が出そうになりました(笑)。

1984年って自分が中学生くらいだったのですが、恥ずかしい話、あの頃の東ドイツがこんなに自由が無く、常に監視されていて密告や盗聴が当たり前のように行われていたという事実を知らなかったんです。だから、大人になっていろんな状況を理解したときにショックが大きいんですよね。こういった映画を通して、さらに理解ができこと、とても大切だと感じました。

きっと、レンタルやさんでも、1枚くらいしかないような映画ですが、機会があって、興味があったらぜひごらんになってみてください。

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2 コメント

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Unknown (はなっち)
2012-06-15 14:50:03
こんにちは、初めまして。
ある映画のネタバレを探していたときに
こちらを知り、いつもこっそり読ませて頂いておりました。
映画はある程度ネタバレしてから見たい
方のなのでとても有難く思っております。
・・・ここであらすじ教えて頂いてもう
満足みたいな。笑
この東ドイツのお話いいなーと見たいと思いましたが結構満足です。笑
でも機会があればレンタルしてみます。
これからも楽しみに読ませて頂きます。
ちなみに今DVDで見るのが楽しみなのがハーブ&ドロシーというアート好きな
ご夫婦のドキュメンタリーです。
あ!こちらで教えて頂いたミッション8ミニッツもひかえております。

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こんにちは。 (tauntaun43)
2012-06-15 15:01:14
はなっちさん。
こちらこそ、はじめまして。
こっそり読んでくださっていたんですね(笑)。どうもありがとうございます。
この善き人のためのソナタは良い映画です。東ドイツの風景や、人の描写なんかは実際に映像でごらんになってもらえると、もっとこの世界に入りこめるかなと思います。
ハーブアンドドロシー、僕もこないだ観ました。たまたまケーブルテレビでやっていたので。すごいご夫婦です。おもしろかったですよね。
ミッション8ミニッツもごらんになったら、感想をお聞かせくださいね。
これからもよろしくお願いいたします。
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