友禅染図案に情熱 京都・向日の男性、描き続け半世紀

2016-06-19 07:09:23 | 創 creation
 京都府乙訓地域では珍しい友禅染の図案家が向日市にいる。半世紀近くにわたり、自宅の一室で着物を彩る花鳥風月を繊細なタッチで描き続けている。和装産業の衰退によるコストカットや後継者不足もあり、業界を取り巻く状況は厳しいが、定期的に展覧会を開催するなど精力的に活動している。

 同市物集女町の金原明保さん(71)。幼少の頃から絵を描くのが好きで、高校卒業後に浜松市から京都市に引っ越し、図案家に弟子入りして住み込みで約10年間、修業を重ねた。独立し、向日市内で型紙を用いて染色する「型友禅」の図案家として、京都市内の業者と取引している。

 主に振り袖を手掛けており、鉛筆とペンで小さな花びらや草のつるなどを丁寧に描く。図案の構想から完成までは1週間ほどかかるという。

 着物産業の衰退で、図案家を取り巻く環境も大きく変わってきた。仕事が減り、20年ほど前までいた弟子も結婚などを機に業界を離れてしまった。かつては長蛇の列ができていた展覧会も、今は図案を買う業者はほとんどいない。

 それでも、仲間とともに開く年2回の展覧会は欠かさない。「たとえ売れなくても、図案家が作品の発表を辞めたら終わり」と熱く語る。現在は、今月下旬に古里の浜松市で開催する展覧会の図案作りに力を入れている。

 「70歳になったら辞めようと思っていたが、今は仕事がある限り続けたいと思う」。業界の未来を案じながら、今日も型紙にペンを走らせる。

【 2016年06月18日 12時20分 】


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