秋の陽射しを感じる季節になりました。
伸びる影も長くなり、風には秋の気配。
夜には、涼しい風が吹きます。
陽だまりに包まれたような植物の絵を、アトリエで見つけました。
実物は、ピンク色がもっと鮮やかなのですが、
蛍光色のピンクの色鉛筆と混合にして使っていたようで、
色が薄くて、残念。
ふんわりした絵は、武内の絵では、どちらかというと珍しいので、
つい目がいくようです。
「この絵は、途中なの?」という問いには、
「もう、出来上がっているよ。」と。
「もっと大きい絵を取り上げてくれてもいいのに。」とも言われてしまいました。
葉の一部が、三日月のようにも思え、この植物の形に惹かれました。
夜の植物の様子にも思える。
真夜中、ヒロクニさんと明石公園を歩いたことがありますが、
夜の植物は、また違った姿を見せてくれる。
人影の無い(こういう時は、人がいた方が恐怖)公園は、
人ではなく、植物の方が存在感が大きく、植物が主となる。
そして、その声に耳をそばだてるのは人。
暗闇が押し寄せる時間の木々や草は、昼間とはまた違った様相になる。
月からの光りを受け、見上げると木々は黒いシルエットになり、
風に揺れてワサワサと音をたてる。
昼間より、夜の方が植物は雄弁な感じ。
また、夜の植物はすっかり寝ているものもある。
真夜中、どうしても寝れなくて、庭に出たことがあります。
やっぱり、植物のかもし出す雰囲気が昼間とは違うのです。
発散しているものが違う。
そう思いました。
この絵から、そういう静かなエネルギーを感じました。
読書の秋。
ヒロクニさんから、「エイブル船長のいく宿屋の名前は、出てきた?」と聞かれました。
「まだ、エイブル船長は登場していないのだけど。そこまで読んでない。」と、答えました。
しばらくして、「メルヴィルの白鯨は、ヒロクニさん読んだの?」と言いました。
「メルヴィルの白鯨は、読んでいるよ。」と。
「確か、その頃はホーソンとかも出てきていたと思うけど。」とも。
その“ホーソン”ってなんじゃ?と思いつつ、初めて、共通の本を読むことになります。
読書傾向が全く違う、ヒロクニさんと私。
呆れるぐらい。
それが、今始めて共通の読書をするわけです。
それは、文中にすでに書いてある、メルヴィルの「白鯨」。
世界の十大小説でもあるし、映画では、グレゴリー・ペックが出演する「白鯨」を観た。
本は、かなりの長編で、描写意外のページも多く、聖書からの引用も多い。
これは、先回のブログで書いた、旧約聖書を読んだためか、
以前より抵抗感は減ったものの、やはり目をパチクリさせつつ読んでいます。
ヒロクニさんは、「ヒューマンなものが流れていていい。」
「素晴らしいよ。」と言う。
期待に胸を膨らませつつ、手にとっています。
主要な登場人物は、話し手である主人公、イシュメエル。
船長のエイハブ。
船長配下で働く3人。
冷静な一等航海士スターバック。
常にパイプを離さない陽気な二等航海士のスタッブ。
高級船員の末席でまじめな三等航海士フラスク。
その他は、いろんな人種が水夫として乗り込んでいる。
巷にあるコーヒー店、“スターバックス”の名前の由来は、
一等航海士のスターバックからきているそうです。
経営者が3人いるので、複数形ということらしい。
時代は、日本で言えば江戸時代。
だから、日本の鎖国のことが出てきます。
アメリカでは、鯨の油がランプとして需要があった時代。
1980年ぐらいか?
主人公のイシュメイルは、旧約聖書のアブラハムの庶子イシュマエルに因み、
エイブル船長のエイブルは、イスラエル王アハブに因んでいるそう。
きっと、聖書での意味も含まれているというか、示唆もありそう。
ワクワクしながら、読み進めていきたいのですが、
筋から外れる文章も多く、けっこう難解な文章の箇所が長く続く。
ヒロクニさんは、「筋と関係ない箇所も多いから、読み飛ばして読むといいと思うよ。」と、
アドバイスしてくれています。
ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読んだ、忍耐力を思い出す。
こちらの本は、最初の四分の一まで読み進めると、
後は面白くて止まらないとなる本なのですが、
「白鯨」はどうなのでしょうか?
今は、五分の一で、まだ読み辛いと思いつつ読んでいます。
ヒロクニさんから、読んでいると、
「あんまり、女性が好んで読む本ではないのに珍しい人だね。」と。
そうなのか?
私は、男のロマンも好きなのです。
だから、不都合があっても、ヒロクニさんと一緒にいるのに。
「そんなことも分らんのかぇ。」と、ヒロクニさんの口調になるのでした。
そんな日の秋の庭。
↑秋は準備が多く、花が少なくなります。今年は周明菊が勢いよく咲いています。
↑こちらは、里芋。“八つ頭”という種類。
10月下旬頃に収穫します。
この赤い茎は“ずいき”として食べた残りを、
“芋がら”にするつもり。
祖母がよくしていたのを思い出しつつ、乾燥させ保存食にします。
子供の頃、“芋がら”を食べた感想は、
「見た目は怖いけど、食べると意外といける。」でした。
兄弟で、「あの鍋を開けた時の絶望・・・・、でも意外と美味しいからびっくりする。」と、
言い合ったのが思い出す。
茶色い麩が浮いているような感じが、子供には絶望でしかなかったのです。
ヒロクニさんは、初めて食べることになると思うので、どうなることか。
楽しみ。
↑キャベツの苗を植えました。
陽のあたるところへ移動させつつ育てようと、鉢に植えました。
青虫にやられています。
↑イタリアンパセリについていた、アゲハ蝶の幼虫。
みかんの木の方へ持って行きました。
みかんの葉が、アゲハ蝶は好きらしく、
庭では、アゲハ蝶がよく舞っています。
油断大敵で、虫の点検を怠ると、あっという間に葉が食べられています。
生命が成長する感じがします。ブルーは昼のように鮮やかなのに、夜を感じます。また、ピンクの形が人の横顔のように見えます。ヒトの内なるモノが植物のように見えて、生命の息吹を感じます。
夜の植物、さほりんの感覚に共感を覚えます。夜は植物や虫たちなど、大きい哺乳類とは違う生物の世界。とても好きな世界です。
我が家のビオランテも夜にゆっくりゆっくり伸びていって、そうっと窓から私の様子をうかがっているような、そんな感じがします。
メルヴィルの『白鯨』のお話になって、とても嬉しくなりました。なぜなら、私の大好きな本だからです。
私は亡父の蔵書の、昭和30年くらいに出版された岩波文庫の『白鯨』をずっと読んでいます。日本語訳が少し読みづらいのですが、その読みづらさが、原作が書かれた時代の雰囲気が感じられるように思います。
前回のコメントに書いた「無理やり読んだ旧約聖書」は、この『白鯨』がきっかけでした。なにしろ話がわからないので、「やはり元になった考えを理解せねば……」と一念発起して頑張りました。
私も、興味のある文章だけ読む(それ以外は読み飛ばす)→もう一度最初から読むと前回読み飛ばした文章が読みたくなる、のような感じで何回も読んでいます。
ヒトの業や優しさや弱さや傲慢さが描かれていると感じます。そして、壮大で過酷で自然が残酷で、何度読んでも変わらぬ感動を覚えます。
スティーブンスピルバーグの映画『ジョーズ』を観たときに、「『白鯨』だ!」と思いました。
大好きな『白鯨』の話になり、少し熱くなってしまいました。
芋がらを作られるのですね。とても興味があります。作ったことがないのですが、保存がきいて栄養もある食物。もっと近代の世にも浸透すればいいのにと思います。
戦国時代は乾燥した芋がらを三つ編みにしたものを戦の兵糧として持参し、汁に入れて食べたと何かの文献で読みました。見た目はアレかもしれませんが、たくさんの栄養があるすぐれた食べ物なのですね。
キャベツは、青虫が好きそうです。野菜の栽培は、虫との闘いですね。
以前、プランターで育てていたイタリアンパセリに同じようなアゲハの幼虫がきました。
葉を食べつくしてしまったので、スーパーでパセリを買ってきてエサのつもりで置いたら、それを食べた直後に体を弓なりにそらして死んでしまい、とても衝撃を受けました。農薬だと思います。自然に任せた方が良かった。アゲハを見るたび、いつも思い出します。
メルヴィルの「白鯨」を読み終えてから、お返事を書こうと思い、遅くなりました。
今回の絵は、アトリエで印象に残ったもので、私の気分とも一致して取り上げました。ひそやかな雰囲気が目をひきました。また、夜のひそやかな時間を思い出し、ちょっとエキセントリックに。ゆっくりと植物が伸びていく感じという感想が、同じで嬉しく思います。
やっと「白鯨」を読み終え、しばらく圧倒されていました。行き当たりばったりの読書ですが、ともりんは同じ本、それも好きな本を読む同士のように感じ、私はとてもワクワクしました。同じような読書をする人は、あまりいないので嬉しい。
「白鯨」は、迫力ありました。筋とは違う“鯨”についての多くの著述部分も読んでいくうちに、だんだんイメージが膨らんでいきます。しかし、文章が独特の言い回しで、聖書にからんでいくので、読み辛いのですが、その古風な堅苦しいような、また大げさなセリフのような比喩とか、他の書物では味わえないもので、初めて読む文体という感じでした。
しかし、大海原の海に漂い、自然との闘い、“鯨”は、自然か?叡智か?とも思いつつ読んでいました。エイハブ船長の固い意志。それをとりまく、登場人物がとても生きいきしていて、血肉沸き踊る感じもあり、腕っぷしも感じるし、こういう書物もあるのだなぁ~ということに驚きを感じます。
聖書の引用と価値観は、分り難いものなので、このような価値観が実際にあるという認識ぐらいにして読んでいました。神にそむく存在のようにエイハブ船長は書かれていますが、エイハブ船長はとても魅力的に思いました。確かに、最後のクライマックスは、“ジョーズ”を思い出します。垂直に顔を上げ、口を開けて船に襲い掛かってくるシーン。鯨の説明文を読んで想像すると、縦長になった口から歯が並んでいる形相が浮かびます。メルヴィルは、リアリズムも追求されていて、迫力ありました。メルヴィルに脱帽です。長々と感想を書きました。私も熱くなっています。読み飛ばさず、しっかり読みました。疲れたら少し休み、やっぱり読みたくなって疲れるまで読み、また休み・・、を繰り返して。人をどういうわけか、虜にする魅力があります。これから、ヒロクニさんに感想を言ってみようと思います。
芋がらのレポートはブログに書きます。どうなるのか、楽しみにしています。戦国時代の人も食べていたのは知りませんでした。古くからあるものなんだと思うと、ますますヤル気が湧きます。
スーパーのパセリをあげたら、幼虫が死んだという話は、怖いですね。そこまで、農薬を使用しているというのが・・・。しかし、買ってきてあげるという優しさ。たぶん、私は虫のために葉を買うことはないので、幼虫に事故が起こったとは云え、ともりんの優しい行動に驚きました。
虫も困るけれど、農薬も困りものですね。
熱いコメントありがとう。
私もつい熱くなります。