武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

蛇口から(色鉛筆作品656)と 石油ストーブと幸福論

2022-01-25 16:25:46 | Weblog

いきなり水道の蛇口が目に入る。

毎日、茶碗洗いが終わったら、

「茶碗はやっつけたからね」と報告してくれる。

何回も事あるごとに「絵を描き、茶碗は洗い」とひつこく言われているので、

水道の蛇口のことが頭から離れなくなっているのか?と思うのでした。

しかし、どうも街の絵らしいことが見て取れる。

コーヒーカップは出てくるし、地下鉄の入り口もある。

人もいるし、1本足の女の子もいる。

どういうわけか魚も登場している。

魚は、水道の蛇口から出る水のシャワーを浴びている。

私が、魚の料理するところを見ている武内の視線を思い浮かべた。

自慢じゃないが、武内は魚なんか触ったことはない。

シュールなのか、現実感が一杯なのか、

この絵を見ていると混沌とします。

この絵は小品でサイズが小さく、測ってみると18cm×13cmでした。

マジックの線描の上に色鉛筆がのせられている。

淡いくすんだ紫色が使われているのがめずらしい。

この絵は、いつもの如く「ちょっと、来て」と言われ並べられた絵から選びました。

こんな風に。

↑机に並べられた絵の一枚を選びました。

この並べられている机は、仕事台なのですが、

ベニアの厚手のものに、白色のアクリル絵具が塗られていて真っ白だったのですが、

今は鉛筆の粉によって真っ黒になっています。

時間の経過を感じます。

↑上の方に鉛筆や色鉛筆が箱に整理されています。

写っている絵は、新しいモチーフを探しているということかもしれない。

クレヨンや鉛筆、消しゴム等もカッターで削りながらの製作をしているのも見て取れて、

忙しいのだろうと思います。

だから、「絵を描き、茶碗も洗い、俺は忙しい」という事なのかも。

 

そんなヒロク二さんですが、寒さに弱いという最大の難点があります。

灯油の値段が高いということで、革ジャンを着て寝ていますが、

やはり寒さが厳しいようなので、灯油を買いました。

石油ストーブを今年初めて点けると、

やっぱりこんなに違うのかと思ったのか、しあわせな顔をして言うのです。

「暖かいっていいなぁ。石油ストーブが一番いいのだよ」

「絵描きには、石油ストーブが一番なんだよな」と。

しあわせ一杯という感じが満ち溢れていた。

石油を買うとわたしが言ったら、「一缶だけでいいよ」と遠慮ぎみであった。

「じゃあ、一缶買うね」と言って、二缶注文しておいた。

あっという間に使い、今度は無くなったと騒いでいる。

「もしかして、電器ストーブと石油ストーブをうまく使いわけたりしてないの!」と、

せまってみた。

「いや、私もストーブの芯を小さくして使っているんだが・・」と言う。

「それって、不完全燃焼で身体に悪い使い方と違うの?」と私は言った。

「大体、もう少し厚着をしないと駄目なのと違うの。

 そのTシャツとシャツだけの格好は何?靴下は?」

「女は目の前にあるものしか見えないとか、よく言うわよね。

 あなたは合理的にものを考えられないのと違うの?」と、相手の弱みを言う私。

散々、“あなたはなっていない”を言われて、可哀想なヒロク二さんである。

(私も、君みたいな奥さんはいないよ。亭主に逆らうような・・と、

無理難題をただ逆らうにされています。まあ、お互い様な2人)

その後、「灯油は、もう一缶買ってあります。だって、それですむわけないもん」と言うと、

「さすが、さほりだ!」

「やっぱり、さほりだ!」

と、感心しきりで感激していました。

もう、私が言った“嫌味”も吹っ飛んでしまったようで、しあわせ感で一杯になっていました。

この“吹っ飛び感”もヒロク二さんの特徴で、いい所でもあるけれど、

私が言ったことの意味を理解せず、

何度も同じことを繰り返すことに通じるものがあって、怖い。

私はしあわせというものも、対比というか相対的なものだと思っていて、

最悪から抜け出せば、それはある程度はしわせな状態と思っている。

また、しあわせも絶頂が続けば、それに影を落としていく過程はちょっとした恐怖であると。

その最悪も絶頂も人それぞれなので、なんともいえないが、

自分の中で基準を1つ決めてみるのも、不幸の連鎖に陥らないで済むと思うのです。

私は、飢えていない、路頭に迷っていない、病気じゃない(身体も心も)であれば、

しあわせなんだと思うことにしています。

寒さというのも身体の機能を奪われるものなので、ちょっと辛いかもしれませんが、

あまりにも寒いだけで、文句を言うヒロク二さんを懲らしめてみました。

気分が、急降下したり急上昇したり激しい様子を見て、

あきれるやら、単純で屈託の無い人と思ったり。

そういう意味で、不幸というか最悪な事態も経験して見る価値があると。

最悪が何度もは嫌ですけど、一度ぐらいはあった方がいい。

しあわせ感が増えると思う。

しかし、ヒロク二さんは、意外と最悪をすぐ忘れる性格なよう。

これも、典型的なしあわせな人の特徴と言えるかもしれないと思うと、

なんかガクッとします。

だから、何回も結婚出来て、

絵を続けられたのかもしれない。

若い方に、個展会場で「芸術では食ってけません!」と言われた時に、

「お前、そんなに若いのに食っていけないって、そんな事考えるって・・・」頭を抱え、

「若いのに、食っていけないとか言うのだったら、やめた方がいい」と泣き声ながら言い、

「そんなことを考えていたら、何も出来ないよ」と、

涙を流して(悲しそうに)話していました。

真剣に泣いていたので、よく覚えています。

そんな事があった後に、著書で岡本太郎氏も若者から同じことを言われ、

「それだったら、家に来い。カレーぐらいは食べさせたる!」と言ったらしいですね。

その方、カレー食べに行ったそうで、アメリカで有名になりました。

今は、日本に帰ってきているのかな?

誰でしょうね。

その方の名誉もあるので、名前は言いません。

岡本太郎氏の方が男気があり、ヒロク二さんは叙情的という感じです。

まあ、やるのか、やらないのか?

そう決めたら、余計なことを考えるな!ということなんでしょうね。

そんな風なのに、ヒロク二さんは寒さに不満をたらたら言うから、

私に逆襲されるのでしょう。

 

↑こちらは、ガスストーブの申し子。

私に捕まっています。

このピピの毛は、ほんとうに触り心地がよくって、

近寄ってくるとすぐ捕まえてしまいます。

顔をスリスリすると、グーと言って喉を思いっきり鳴らしてくれます。

ゴロゴロも激しく、「そんなに嬉しいの」と思い、愛おしい。

保護猫だったピピは、サビちゃんなのですが人懐っこく可愛い性格です。

 

 

灯油や石油ストーブから、

幸福論のような内容に。

どうして、こんな風に文章がなってしまうのか?

このような文章を読んで下さり、ありがとうございます。

しかし、灯油の値段高い!

値段が高くなければ、

ヒロク二さんもこういう目に遭わなかったと思います。

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (ともりん)
2022-01-30 22:12:01
ふわふわしてにぎやかでかわいい作品だなと思ったら、蛇口が!蛇口を象徴とした、ヒロクニ先生の日常の景色が描かれているのかなと思いました。
小さな作品ということを知り、驚きました。原寸の大きさを考えると、ちょっと印象が変わるかも。日常生活を描いたメモのような感じを作品にしたのかな?と思いました。
作品の大きさは、印象に大きく影響するものなのですね。
濃いグレーに見える仕事台が、白だったとはまたまた驚きです。経年のすごさを感じます。

灯油の値段がどんどん上がっていますね。「次回は下がるのでは……」と小さな期待をかけて、毎回1タンクずつ買っています。でも、下がりません。
エアコンは電気代が高くなるし、やっぱり灯油の幸せな暖かさは得られません。少量の灯油でも同じように暖かくなる安価な暖房器具を、どこかのメーカーが開発してくれないものでしょうか。
我が家も室内でフリースやニットの重ね着をし、マフラーを巻いて過ごしています。私はそれに加えてジーンズの上に、もこもこのスカートをはいています。暖かいです。
「灯油はもう一缶買ってあります」、長年ヒロクニ先生の奥様をやってきたさほりんならではのお言葉です。さすが!それを言うタイミングも絶妙です。

「芸術では食っていけません!」のヒロクニ先生と岡本太郎氏のお話、面白かったです。
ロマンティックな文学がお好きなヒロクニ先生らしいなと思いました。
ピピちゃん、緑のお目目が美しいです。真剣にさほりんを見つめていますね。「大好き」光線が全身から出ていて、もうこれはかわいくてたまらないでしょう!
灯油の値段やめて欲しいですよね (さほりん)
2022-01-31 12:20:48
今年の冬は、ヒロク二さんにとっては厳しい冬です。いつもの冬は、私が「暑い!」と服を脱いだりしていましたが、そういう事はない冬になりました。私もタイツと厚手のフリースの下履きとセーター二枚重ね、時にマフラー。そして、ヒロク二さんを見ると、Tシャツの重ね着。いつも、どうして服を着て暖をとらないのか謎なのです。ジーンズの上にもこもこのスカートとあり、可愛い感じがします。そんな風なファッションを若い方がしていた時期があったと記憶します。
灯油を買ってあったのをすぐ言わなかったのは、懲らしめてやろうと思ってだまっていました。最近、悪智恵を思いつきます。だけど、ヒロク二さんの素直さというか、単純さには負けています。内心、面白い人だな・・、憎めないな・・と思って。

この絵は、日記のような要素があるのかも。ゴミ出しをしていてくれた頃は、ゴミ箱の絵を描いた絵があって、小さい字で「火曜日はプラスティック」と書き込まれていました。仕返しをされているような感じでした。その頃も、ゴミの話ばかりされていました。「今日もゴミ出すの大変だった」ばかり口にしていたと。それでも、絵が楽しげなのがまた、不思議。

「芸術では喰っていけません」と言われた時にあまりにも涙を流すので、強烈に印象に残った出来事でした。横で見ていて、その質問で泣くようすが・・・ね。ヒロク二さんは、そんなことを考えたことがなかったのでしょうね。情熱と意志の方が勝っていて。狂おしい思いで中学の頃誓ったらしいという話をしてくれます。

ピピちゃんは、私が好きだという意志表示があふれる猫で、ニャニャニャーンと鳴きながら、パソコンを打っていると背中を昇ってきます。かまって欲しいらしくて、膝に乗せると顔をみながらゴロゴロの嵐。こっちを見てということらしい。「俺もピーと一緒なんだよ」と言うヒロク二さん。ううむ、なんですが、楽しい家庭ということだと。

もう少し効率のいい、暖房器具が開発されるといいのにね。それは、思いつきませんでした。北海道の人が言うには、部屋はとても暖かく保っているらしいけど、どうしているのでしょうね。
もうすぐ立春です。
少しづつ春に近づいていると思って、やっていきましょう。我家の梅もつぼみが膨らんできています。
そして、コメントありがとうございます。

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