武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

西方(色鉛筆・作品紹介683)と 暑い日のおかしな日常

2022-08-06 16:09:48 | Weblog

今日は、旧作から。

八九年十二月と記入されている。

武内ヒロク二、51才。33年前の作品になります。

出合った頃のの作品で、結婚するしないでもめていた頃の絵になります。

ロマンティックに言えば、「恋をしていた」時期。

パンツの形をしている旗が懐かしい。

右下の文字は、

「西へ向うんだ

 その方から

 匂うんだ

 まちがっても

 いいから見つけるまで

 とぶんだョ」

と、詩のような文面が描かれています。

この頃は、ラブレターと称する“日記帳”が送られてきたり、

“いら草”について書いてある手紙が送られてきたりしていました。

“いら草”についての内容は、いら草のからまるような詩的な文面と

その手紙から発する、精神が沈みこんだ胸中の透明感や、

その中から光を見出そうとする苦悩が書かれていて、

危うい感じがあり、心配して電話をしたことなどが思い出されます。

電話して会うと、意外と元気そうで、

「いやぁ、さほりと会えたのだから嬉しいよ。」と言う。

もう、このストレートに、こういうふうな物言いに毎度驚くわたしは、

「だだ、人として心配したんです。」と相変わらずそっけない。(当時)

会ったら、会ったであちこちに引っ張り回され、

夜になっても街のあちらこちら。

次の日、仕事がしんどいこと。

 

話を元に戻します。

この絵を見ると、危ない胸中にいたのだなと感じる部分があります。

“から草”の手紙に通じるものがある。

「西へ向かう」とありますが、その頃は手前勝手に九州の方のことか?と思っていました。

住まいが明石にあったので。

近年、古典にて、西行の「山家集」を読んでいる時に、

西行の名前の由来は、阿弥陀仏の極楽浄土が西にあることから「西行」と名乗ったとあり、

「西」というのは、極楽浄土のことを指す場合もあるというのを知った。

この頃は、仏教に傾倒していて禅寺にも行っていたことを考えると

「なるほど。」と今思えるのです。

この頃から、「飛ぶ」というオブセッションがあり、表現は変わったが今も健在です。

変化としては、浮遊感覚がある絵も多くなりました。

澱んだ川のところに船があり、

不思議な円径がいくつかあり、

「地獄から這い上がりたい。」

「ここを突破するのだ。」

その葛藤、そのものが絵に表れているように思います。

色使いも、この絵の特徴で、こういう色彩の絵は、今はありません。

 

絵の描かれた当時は「西、西って。東はダメなのか?」と言ったりもしていました。

わたしは、即物的な単純に考えを行ったり来たり。

「君は、無味乾燥な人だね。」ってよく言われています。

今、時間を経て、そうか・・・と分る時って、

あるんだなと思い、年をとるのも悪くないと思いました。

 

雨で涼しくなりました。

それはそれで、急に気温が下がるとホッと一息入れてしまって、疲れが出る。

連日の暑さでバテ気味。

ヒロク二さんは、朝から「出べそ。」「出べそ。」て、わたしに言う。

「マイルス・デベゾ。」とか言って、1人で受けていらっしゃる。

「お前も出べそだ!」とわたしを指差して笑う。

私的に受けてないので、合わせようとすると、

「疲れるから、やめときなさい。」って、天から言葉が降りてくる感じがする。

どうしよう・・、と思っていたら、図版から切り取った紙を持ってきた。

この方がいいと思った次第。

↑そう、笑えない冗談よりこちらの方が断然良い。

「それ、面白い。それは、ピカソの陶芸の作品?」と聞くと、

「全然違うものだ。」と言う。

「じゃあ、それは古代の文明のもの?」と聞くと、そうだと言う。

クレタ文明を思い浮かべてみた。

切り取られているので、詳しいことが分らないのが残念だ。

それから、私達は、この切り抜きについて、ああだ、こうだと延々話す。

この形や腺に興奮しているので、この切抜きをいろんな所に置いてみたりした。

2人でここはどう?とか言って、「そこよりここだ。」とゲーム感覚で遊ぶ。

最終段階として、ヒロク二さんのメモを引っ張り出し、置いてみたのでした。

う~ん。ヒロク二さんの絵も古代感覚があるような気がしてきて、再び、う~んと唸る。

フランス映画などで、確かゴダールの映画だったと思うけれど、

唐突に、古代の彫刻が映し出されることがあり、意味が分らなかったことがありますが、

ヨーロッパの人が見ると意味があるのか?と思ったことがあります。

たぶん、地中海文明はローマ帝国の文明と近く、

日本人であるわたしとは違う親近感があるのだと思う。

ピカソの陶芸の作品も、地中海文明から大いに影響を受け、制作されたと言います。

それを、日本人のわたし達が鑑賞し、感覚を見て学習するということに。

こういう感覚の伝播って、面白く楽しい。

クレタ文明は、紀元2000年も前の文明ですが、かなり高度な文化を持っていて、

高度な建造物が建ち、海洋国家だったのです。

この切抜きから、たくさんのことを想像しました。

こんな紙切れで遊ぶ大人。

わたし達ぐらいでしょうか?

ピカソの陶芸も紹介します。

 

↑切抜きの写真と通じるものを感じませんか?

 

 

庭の花は、大雨でぐったりしてしまっています。

なんとか大丈夫そうな花を手折りました。

↑庭のひまわりです。

ひまわりとよもぎの葉を合わせたものを食卓に飾りました。

ヒロク二さんは、「何か、すっきりした感じだ。」と言いつつ、通り過ぎました。

 

暑さは、また戻るのでしょうね。

麦茶とスイカで暑さをしのいでいます。

今年は、甘いスイカによく当りますが、今年は甘く仕上がっているのか?

冷蔵庫に、カットスイカが待機しています。

そうしておくと安心する。

今日も、最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。

 

 

コメント (2)
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