「飛ぶ顔」とタイトルが書き込まれています。
この絵は、ヒロクニさんの従来の絵とは、一風変わっています。
お面のような顔の形の絵は、見たことがありません。
2つの顔があるように思います。
とぼけた顔とシリアスな表情。
白い部分からはみ出た部分の目の部分を隠すと、なにかユーモラスで可愛い表情の顔に見えます。
口と鼻の部分も、空中に浮いていて、ヒロクニさんらしい。
また、鼻の部分は、街の絵によく出てくる地下鉄の入り口みたいであり、味わい深い。
「まだ見ぬ絵画へ」という言葉をよく話すので、
その境地に近づいているのかもしれないと思うのでした。
黒の部分は鉛筆が使われており、その他は色鉛筆を使用しています。
ヒロクニさんの試行錯誤から、出来上がった作品の一つとして、妻は興味深く思って、
この作品を取り上げました。
話しは変わります。
「万引き家族」という映画がカンヌ映画祭で受賞したそうですね。
「万引き」って、犯罪ですよね。
実は、実在の「万引き一家」をよく知っているのです。
中学生の頃、団地に引っ越した時、とんでもない家族が真下に住んでいた。
道徳心もめちゃくちゃで、決まり事は、守らないし、人にやたら迷惑をかける人達が、
真下に住んでいた。
その家族のせいで、その棟の人達は軒並み引っ越していった。
私達は、そう簡単に出て行けないので、その一家に怯まないように生きてきた。
その夫婦の仕事は、肉体労働をしていたおっちゃんって感じの夫と、たまらんおばちゃんの夫婦。
子供が2人。先妻の子供らしい。先妻の人はとても美人だったという近所のうわさがあった。
おっちゃんよりおばちゃんの方が強烈だった。
よく我家に、お金を借りに来た記憶もある。(おばちゃんの方)
母は、5000円くれてやり、その5000円を返してもらうまでは、
貸せないという理由を作り防御していた。
それでも気にせず我家にしょっちゅう金の無心に来るが、
「返すもん返してからにしてくれ!」と、凄みいつもお引取り願った。
私が対応したこともある。
「子供が風邪を引いたので、薬が欲しい」。と例のおばちゃんが言ってきた。
私は、風邪薬のビンの蓋をその人の前であけ、「何歳なの?」と聞き、
見合った錠剤の数を一回分だけをあげた。
なんか不服があるような顔をしていたが、無視だ。
そうしたら次の日もやって来た。
また、錠剤を取り出していると、「ビンごと欲しい」と言うのだ。(あつかましい)
「何回きてもいいから、これを渡しておきます。」と言ってお引取り願った。
それから、来なくなったので、「ヤッホー」と家の中で喜びの声をあげ爽やかな気持ちに・・・。
母は大型スーパーでパートに出ていた頃、そのスーパーで「プロの万引き犯」がいるということが
話題だったらしく、母もそれとなく警備の人にその話を聞きに行ったら、
「今、来ている」ということだったらしく、「あの2人だ」と教えてもらったそうな。
母は、心の中で「ギャー、よりによって下の夫婦じゃないか!」と驚いた。
家に帰って来てから、「捕まえたと思ったら、お金を支払っていたり、その欺き方がプロらしい」と
言うことなど興奮気味に話してくれた。
2人は、籠池夫婦をもっと醜くしたような風貌で、子供と一緒だったら逮捕されにくいと
思って行動していたようだが、子供に万引きを教えなかったのは幸いだったと思う。
その子供は、いつも何か引け目を感じていたようで、近所で目が合うと伏し目がちだったのが、
ちょっと可哀想な感じがした。
ところが一度、他人ではなく、小学生1年の時、弟がゲームをそのスーパーで万引きした。
運悪く、説教をされている部屋を母が覗いて、自分の息子が万引きしたことがわかってしまった。
家へ帰ってから、母は「今日は、私に報告することがあるのとちがう?」と弟に。
「怒らないからいいなさい」。と言われたとたん、すぐに白状した弟は、
バシバシに殴られた。「怒らないと言ったじゃないか!」という声をむなしく、
かなり長い間殴られて、「私が一番嫌いなことをした!」「二度としないと誓え!」と
何度も誓わされていたのであった。
母の怒りは本当に凄くて、ビンタの音がパシッとはっきりよく聞こえ、子供心にすごくよく覚えている。
それ以降、二度とそういう事をしようとは思わなくなったようだ。
ヒロクニさんも私の目の前で、万引きを一回したことがある。
怒りの原因も私は知っていたが、その怒りが万引きに結びつくとは思わなかった。
あっという間の出来事で、友人やら私と歩いている時に、パン屋の扉をあけたかと思うと、
フランスパンの中くらいのサイズのやつをコートの中にさっと隠して、出てきたことがある。
皆に非難をくらって、家では私に長々と説教され、
そのパンは食べることが出来ない程、罪の塊となり処分した。
私の父も、海文堂書店で若い頃、本を万引きしたことがあると結婚してから白状しました。
海文堂書店の先代の頃の話です。海文堂書店は、専門書を多く置いていた書店だったらしく、
若くて貧乏だった父は、その勉強にになる専門書を背中に向けて首から本を入れている現場を
先代の社長に見つかり、背中の本をバシッとここに入っているじゃないか!と叩かれたそう。
本が勉強の本ばかりだったせいか、「ノートを持ってきて本から写してもよいから、盗むな」。
「ここで、勉強していけ!」と言われたことをよく話します。
この話の後で、「いろんな人のおかげで、今の私がある」。と父はいうが、その先代の社長の優しさと洞察力が
万引きをやめさせ、未来に足がかりを下さったことを思うと感謝しか思い浮かばない。
次の代の社長様には、ギャラリー海文堂の時代も、ギャラリー島田になってからも、
私達夫婦はたいへんお世話になっているので、娘から感謝の念をと思うが、
万引きの話なので、いいそびれています。
万引きした父親とか、恥ずかしい限り。
映画はまだみていないので、なんともいえないが、
コメディ調に仕上がっていれば、センスあるなぁ~と思うし、
まじめに犯罪一家が素晴らしいという映画であれば、問題だなぁ~と思います。
ちなみに私は、万引きはしたことがないのですが、身の回りにちらほら・・。
万引きは、恥ずかしい行為だということは、しっかり覚えておきましょう。
犯罪の話は疲れますね。
庭では、ジャーマンアイリスの花が咲きました。
今年はいつもの年より数多く咲きました。
根が増えていっているだろうと思います。