武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

色鉛筆画家のアトリエ 紙、紙、紙 (夕暮れのアトリエ)と、松尾芭蕉の句

2017-01-07 17:55:57 | Weblog






夕暮れのアトリエ。
現在、武内画伯は入浴中。
絵にも夜の絵、昼の絵があり、夜も制作するせいか、昼間にいつも入浴をします。
夜のしじまの時間の絵と昼間に描く絵は、違うらしく、
夜の絵は内省的な絵が出来上っています。

武内はエスキースなしに(下絵なしに)絵を仕上げていくタイプなので、
描いている途中でうまくいかないとその絵を放棄します。
その中で、うまく完成に持ち込めたものが完成です。

アトリエを見ていると試行錯誤の奮闘している姿が思い浮かび、
「頑張っているのね」と思います。


その横で、古典にはまっている私は、松尾芭蕉集(全発句)を読んでいます。
台所で本を読んでいると、何故かヒロクニさんはくっついてくる。
制作の合間だから、息抜きに来ていると思われるが、
本を読んでいるのに、やたら話しかけてくるのです。
こっちも、‘本を読みながら話をするという技術’で応対しているが、
なんか途中で頭がくちゃぐちゃになりそうである。
ヒロクニさんも私に合わせて、「芭蕉は句会で忙しい一面もあるだろう」と言い、
以外に物知りである。
私も変な読み方をしていて、晩年から時間を遡って読んでいっているので、
読むに進むにつれ、芭蕉の年齢が若くなる。
まだ「奥の細道」の旅に出ている頃の所に至っていない。

そんな中、ヒロクニさんに丁度いい句かも?という句を発見して、
声に出して読んで挙げた。

『月花の 愚に針たてん 寒のいり』

この俳句の意味は、
財産もなく、家庭もなく、だだ月よ、花よと優雅に浮れ過ぎしてきた愚かなわが身に、
今年も「寒の入り」の季節がめぐってきた。これからは当分は厳しい寒さの日々が
続くことである。世間の人びとは、厳寒を迎えるにあたって灸を据えたり、鍼を立てたりして、
身を養っているが、私は愚かな私の心に鍼を立てて、厳しい人生の思いを新にしよう。

という意味。と、解説にあります。

私は、絵に打ち込み芸術にいそしむヒロクニさんの姿を重ねて、
「この句があなたには似合っているわ」と言ったが、
後半の句は、寒さに不平不満を言う愚かな愚痴に対して、
ヒロクニさんを戒めるのみぴったりと思ったのです。

「ほら、芭蕉のこの自分に厳しい態度は、すばらしい句を作る、孤高の精神は素晴らしいじゃないか」と、
言うと、ヒロクニさんアトリエにすぐ戻って行ってしまい、私の側から離れて行きました。

ヒロクニさんは、食事中に「オンナで、松尾芭蕉を読む奴はあんまりいないんだ」。とばかり言います。

古典の読書に、松尾芭蕉を選んだのは、
日本画家なのですが「小野竹喬氏晩年の作品、奥の細道シリーズ」というのがあり、
特にその絵が好きであったので、読むことにしたのです。
いつも絵画から触発されて、好奇心の赴くままの読書をします。

小野竹喬氏のその作品を1枚紹介します。↓


句は、「五月雨をあつめて早し最上川」
日本画の中でも、たいへん粋な作品と思い、いつも心にあります。
ヒロクニさんは、ハチャメチャな作品を描くのですが、芸術は芸術性において等価であると考えていて、
好き嫌いはともかく、「こーいう奴には、なかなか勝てない」と漏らすことがあります。

実は、芭蕉の句には、よく最上川が登場します。
流れが急で、雨などが降ると川が増水して、川が渡れなくなると宿でもう一泊となることが多いようで、
とてもよく渡った川であったようで、その船頭の様子の句などもあります。





コメント
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