梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

<乱歩歌舞伎>体験日記・第十一夜

2009年10月07日 | 芝居
<乱歩歌舞伎>第1弾である昨年の『江戸宵闇妖鉤爪』、そして今回第2弾となる『京乱噂鉤爪』の脚本を担当なすった岩豪友樹子さんは、その筆による『大力茶屋』が平成8年に、『斑雪白骨城』は平成15年に、それぞれ国立劇場の本公演におきまして上演されておりますから、新作歌舞伎の脚本としてはこれで4作目となるわけですね。

とりわけ『斑雪白骨城』は、師匠の演出・主演での上演でしたので、印象深く記憶しております。
黒田如水と、敵対する宇都宮鎮房の娘である鶴姫の屈折した愛を描いた作品ですが、森英恵さんのデザインによる衣裳での所作事も入るという、常の新作とはひと味もふた味も違う“歌舞伎”でした。
私にとりまして、初めて携わる新作歌舞伎の現場。大変面白く、また難しく、貴重な体験をさせて頂きましたが、あれから6年、ふたたび岩豪さんの作品に出ることができますのも、巡り合わせと申しましょうか、有難いご縁を感じます。

新作は難しい!
ついつい常のお芝居とは違ったことをしてみたくなったりしてしまいますが、それでは歌舞伎ではなくなってしまいますし…。
戯曲は新しくても、演じる側の方法論は、あくまで歌舞伎でないと、意味がないのですから…。
まして今回は、衣裳が現代的だったり、装置が常の定式とは違う形式だったりと、おもわず何かを試してみたくなる要素が満載!
なんとか踏みとどまらなければ…と、いつも思いながら3つのお役を勤めておりますが、未熟ゆえにいたらぬところも多々あるかと思います。かえってこういう舞台のほうが、普段の自分が出てしまうから怖いですね…。



↑6年前の『斑雪白骨城』より。
「合元寺門前の場」領民の男

              ◯

今月のお稽古中、帰りの電車で偶然にも岩豪さんとご一緒しまして、少しでしたがお話しさせて頂くことができました。
ご了承を頂きましたので、ホームページのリンクを貼らせて頂きますね。