梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

重手本忠臣蔵・一冊目

2009年10月28日 | 芝居
「かさねてほん ちゅうしんぐら」と愚題をつけましたが、当ブログを始めましてから2回目の『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』出演でございます。
私にとりましては、平成12年3月松竹座での上方式通し、平成14年国立劇場での七役早変わりでの通し、そして前回平成18年歌舞伎座ときて、これで4回目の<通し狂言>体験です。
勝手知ったる…と言いたいところですが、まだまだ知らないことばかり。今回も沢山勉強させて頂く所存です。

さて今回のお役ですが、『四段目』の<諸士>と『七段目』の<仲居>の2役を頂戴いたしました。
今月は全国で歌舞伎が6公演行われております。各座の人数は切り詰め切り詰め、名題下も限界状況です。ご承知の通り『忠臣蔵』は男の芝居。『四段目』では立役の皆様とご一緒させて頂くことになりました。所化とかでない、ちゃんとした立役は3年ぶりでしょうか。立役籍での最後の芝居も『忠臣蔵』でしたから不思議なものです。
師匠は『大序』『三段目』で若狭之助、『五段目』で定九郎、『十一段目』で服部逸郎の3役ですから、結局私が関係しないのは『落人』と『六段目』だけなのね。いやいや、これが当たり前なのです。

本日は、朝から楽屋作りをし、正午より『七段目』と『十一段目』の<附立>。
昨日までの新作歌舞伎から、うってかわって古典の大作に。頭と体の切り替えが大変ですが、楽屋に足を踏み入れたとたん感じた<歌舞伎座の匂い>! この感じ、この雰囲気ですよね。懐かしく思いました。

さて『七段目』。松嶋屋(仁左衛門)さんの由良之助にご一緒するのは2回目で、前回は太鼓持ちでした。上方の段取りで運びますので、随所に東京式との違いがございます。また後日お話しさせて頂きたく存じますが、松嶋屋さんのときはたいてい“見立て”がなく、今回も同様ですので、あのなんともいわれぬ緊張感は味合わずに済みました…。
<茶屋場>といわれるくらいですから、遊里の雰囲気を作る、その一人として責任を果たせるよう、ほわ~んと勤められたらと
思います。

『十一段目』は、歌舞伎座では11年ぶりの「引揚げ」がつきます。研修生最後の年でしたかね。舞台見学で拝見いたしました。
今日はこの場のみの師匠。あっという間の出番ですが、馬上で扇をかざして「チョン!」ですから、こういうのって、さぞ気持ちがよいのでしょうね…。



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