梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

<乱歩歌舞伎>体験日記・第十六夜

2009年10月13日 | 芝居
『京乱噂鉤爪』「三条 鴨川堤の場」での私のお役は<物乞いの女>。
蛤御門の変の戦火で住処を失ったという設定です。
いわばホームレス。身なりも満足に整えられないありさまですので、鬘もそういう雰囲気を出しています。
<乱す>と表現いたしますが、鬢(びん)にしても髷(まげ)にしても髱(たぼ)にしても、わざと形を崩したり、後れ毛をだしたり。
きっちり美しい形に結い上げるのが難しいのは当然ながら、こういうふうにわざと崩して結うというのも、なかなか難しいのだそうです。

髪の色は栗色になっております。ろくな手入れができないから荒れているという気持ち。
世話物ではままみられます。

…芝居中に、ほつれた毛が口に入ったり鼻先でカユカユしたりもするのでなかなか厄介ではありますが、雰囲気作りのためには我慢ガマン!