梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

<乱歩歌舞伎>体験日記・第十八夜

2009年10月16日 | 芝居
『京乱噂鉤爪』第1幕第場「今出川・鴨川堤」での私の仕事は<波後見>。
というわけで、黒衣ではなく全身水色の拵えです。

足袋も水色、しかも今回は肘まである水色の手袋を装着していますから,完全に波と同化できます(普通は手甲や手筒のことが多く、手首から先は地肌が見えるのです)。
今回の波後見は、かなり白がちな水色ですが、それは扱う波布の色みに合わせているからで、舞台面によってはもっと濃い色のものになることも(むしろその方が多いかな?)。
黒衣は自前ですが、波後見や雪後見はその都度借りるものです。

この場の見せ場の洪水シーンはまさに人海戦術で、波布を動かす人、流されるモノ・ヒトを操る人、波にのまれる船や土手を撤収する人、かなりの人数で勤めております。
私は前面の波布を扱っておりますが、演技の進行に合わせて<水位>を変えるのがなかなか難しいです!
緊張の数分間、腕も痛いが胃も痛い…。