桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

トワイライトエクスプレスの旅

2012-07-27 20:19:40 | 旅行記
今までにカシオペアと北斗星には乗ったことがあるのですが、トワイライトエクスプレスは大阪発ということもあり、また、乗るなら全部乗り通したいので、なかなか機会が持てずにいました。それに短い日程で北海道に行くには、向こうでの時間を少しでも長く取りたいので、やはり飛行機を利用することになります。 その上トワイライトエクスプレスは走り始めた当初からプラチナチケットと聞いており、さらにかなりの値段ときているので、こちらの意味でも躊躇していました。
今年の夏休みはお盆休みの時期にようやく取れるだけであることがわかっていたので、7月下旬に、昨年の普通列車でまわる北海道の旅に続くものとして、トワイライトエクスプレスの旅をしようと考えたわけです。チケット(二人用個室)は1ヶ月前に無事確保してあり、夕食も食堂車ダイナープレヤデスでフルコースディナーをいただくことにしました。

当日(7/22)は5時前に起き、前橋から両毛線、高崎から新大阪まで新幹線を乗り継ぎ、大阪には11時前に着きました。トワイライトエクスプレスは40分前に入線すると聞いていたので、入線から見るために、早く着くために早起きをしたわけです。
近代的なビルに生まれ変わった大阪駅の10番線ホームに、深緑に塗られた車両が静かに入線してきました。夏は毎日運行されているためか、カメラを構えているのは、大半は乗客のようです。我々も先頭の機関車の前で記念撮影。その後は車内探検です。前から普通の二段式の寝台車、一人用と二人用の個室、サロンカー、食堂車ダイナープレヤデス、そして最後の二両が一人用ロイヤルルームと二人用スイートルームです。一号車のスイートルームはシャワートイレ付きのツインベッドルームで、たった一室だけなので、それ相応の金額ですが、それでも大変なプラチナチケットです。
列車は定刻に発車したあと、まずはシャワーチケットを買いに食堂車へ。まだ早かったので、一番最後の回を確保しました。13時からはランチタイムです。食堂車で昼食が食べられるのは、このトワイライトエクスプレスの札幌行きしかありません。メニューも豊富ですが、名物というオムライスにしました。反対側の車窓には琵琶湖が眺められます。オムライスは、こういうところのものにしてはなかなか美味しいと思いました。 あとは部屋に戻り、今朝は朝が早かったので、18時頃まで寝ていました。
ディナータイムは19時半から申し込んでありました。ランチタイムが遅く、列車に乗っているだけでは腹も空かないだろうと思ったからですが、やはりそれは正解でした。 12,000円也のフルコースディナーは、まあこんなものだろうな、と思いましたが、季節ごとにメニューを変えているのは、さすがに関西風の考えによるものだなと思いました。だってそうすれば、季節を変えてまた乗りたくなるかも知れないわけですから。 料理はそれなりに美味しかったです。一番美味しかったのは、実は白桃を使ったデザートでした。自分にしては珍しく、グラスワインなどもいただき、すっかり酔っ払ってしまい、お腹もいっぱいになりました。ディナータイム後のパブタイム(予約不要)にも食堂車に行きました。
その後はシャワーを浴びて寝るのですが、クーラーが効きすぎており、翌朝は冷房病になっているのではないかと心配されました。
朝の最初の放送で目を覚ましたのは長万部の手前でした。しかもその直後に、昨年訪れた小幌駅のことが車内放送で紹介されたのには驚きました。目を皿のようにして車窓を眺め、トンネルを出たところに一瞬現れる小幌駅を見逃さずに済みました。やはり冷房のために腹の具合が悪くなっていました。

まもなく1,500円ほどもする高級な朝食の時間になりましたが、今回は昨夜洋食だったために和食にしました。まぁ、1,500円というのはその多くがショバ代と人件費だということがわかる朝食でしたが、味は悪くありませんでした。

そうこうしているうちに、車窓に家並みが目立ち始め、さらにビルが増え始めて、無事札幌に到着しました。22時間あまりの旅は、長いようでやはり短かったです。客を降ろしたトワイライトエクスプレスはゆっくりとホームを離れていきました。

その後はまず特急で旭川に向かい、荷物をホテルに預けた後、一蔵という有名なラーメン店でお昼にし、その後特急で深川に戻り、そこから留萌線に終点の増毛まで乗りました。天気が良く、窓から入ってくる空気は爽やかでしたが、ディーゼル車なので、あまり開けておくといつの間にかすすが鼻の穴に入って黒くなってしまうので、なるべく窓は閉め、扇風機で我慢しましたが、まぁ、何とか過ごせました。そう、この車両にはクーラーはついていないのです。

増毛で降り、帰りの列車が出るまでの約1時間を、古い家並みを見たり、国稀の酒造元で日本酒を購入したり、増毛駅に入っている売店でタコザンギを食べたりしている間に1時間は過ぎ、帰りの列車は出発しました。

その後は深川で特急に乗り換え、旭川に到着しました。ホテルは食事なしで泊っていて、夕食をどうするか、まったく考えていませんでしたが、足がないので困っていました。そこで考えたのですが、旭川には、もう20年も前に上川のゆわんと村で知り合ったぐっちが住んでいます。ぐっちの経営する菓子店は今日は営業中なので、店に電話して、夕食をご一緒できないか伝えると、幸いにもOKとのこと。増毛から帰った後に待ち合わせ、ぐっちの運転で、北海道旅行者にはおなじみの回転寿司・トリトンに行きました。

ぐっちと会うのは久しぶりで、いろいろ話が弾みました。すし屋はかなり込んでいたのですが、20分ほど待ってボックス席に座れました。しかし、かつてのように次から次へと皿を重ねていくことが出来ません。さすがに3人の平均年齢が40を過ぎているだけのことはあります。3人で1人平均8皿ほどしか食べられませんでした。でも、内地では食べられない種類のネタばかりを選んだので、美味しく食べられました。

ぐっちにホテルまで送ってもらい、ついでに明日さくらんぼ狩りに連れて行ってもらう約束をして別れました。こういうとき、持つべきものは友だと、本当に思いました。
翌朝ぐっちが迎えに来てくれ、毎年購入しているという果樹園へ車で連れて行ってくれました。旭川郊外は実はイチゴやリンゴ、サクランボなどの果樹も多く植えられているというのです。以前何度も購入した、ぐっち製のリンゴジャムの材料になったリンゴも、この果樹園でとれたものだとのことです。

サクランボはもう時期が終わっており、完熟した実がいくつかなっているだけでした。許可をもらって摘んで口に入れてみると、これがすばらしく美味しいのです。店で売られているサクランボは酸味がありますが、これは酸味がなく、完熟なのでとても甘いのです。こうなってしまうともう店には出せません。そんな完熟サクランボを、格安の値段で分けてもらいました。

その後ぐっちと別れ、バスでアイヌ記念館に行きました。実に20年ぶり。でも、展示内容が20年前と同じなのに、かえって驚きました。アイヌ記念館では最も有名な、観光客も多く訪れるこの旭川のアイヌ記念館ですが、北海道内には、公営のアイヌ記念館はおそらく一つもありません。この記念館も、ある種の意地で今日まで運営されているのではないかと思われました。

旭川から札幌に戻り、小樽へ移動し、小樽駅から歩いて昼食の店へ向かいました。「魚一心」という店で、やはり20年ほど前に、小樽にあるある宿で一緒になった人が連れて行ってくれた店です。ここの「定食」というのが、格安で美味しい刺身と煮魚(焼き魚)のセットを食べさせてくれるのですが、行ってみるとすでに閉店。20年前も平日でサラリーマンでにぎわっていたので、この日もおそらくすでに売り切れてしまったのでした。

仕方なくタクシーに乗り、礼文島で知り合ったくまさんが先日出かけて美味しかったと言っていた味さきという店に行きました。ここで甘エビ丼をいただきました。

それから小樽駅にバスで戻り、さらにバスを乗り換えて余市に向かいました。余市といえばニッカウヰスキーの蒸留所のあるところ。私はそれを前から知っていましたが、自分自身下戸ということもあり、一度も行ったことがなかったのです。連れはは酒を飲むので、ここの話をしたら興味津々。ということで出かけてみました。

蒸留所はなんと入場無料。しかも、戦前に建てられた石造りの建物がずらりと建ち並んでおり、なんだかヨーロッパのどこかの町にでも来たような感じです。平日にもかかわらず多くの観光客がおり、建物によってはアルコールの香りが漂っているところもあって、それに感激している人はきっと酒を飲む人ではないかと思われました。

試飲をしているところもありました。有料で高級なウイスキーを試飲させているところと、無料で安いウイスキーを試飲させているところと2カ所あるのがおもしろかったですが、私は試飲はしませんでした。この年になるまで、焼酎や泡盛、ウイスキーといった蒸留酒のおいしさが全くわからない人間なもので。連れも帰宅後車を運転する必要があるので、泣く泣くあきらめていました。

小樽に戻り、北一硝子でグラスを2つ買い、六花亭でお菓子をいただいた後、小樽からエアポートで新千歳空港に向かいました。新千歳空港ではこれまたくまさんと同様に松尾ジンギスカンでジンギスカンを食べ、満席のANAで暑い暑い羽田に飛び、最終の新幹線と両毛線で前橋に戻ってきました。暑いと聞いていましたが、夜中の前橋はそれなりに涼しかったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする