お茶菓子

　田舎ならではなのか、普通の事なのかは分からないが、例えば大工さんが入るとか、何か人を雇ってして貰う時、お茶やお茶菓子を準備して休憩して貰うのが常だ。
　勿論、中には絶対に縁側にも座らず、休憩も車の中でする人もいる。また、馴染みの人なら一緒にお茶にしたり、キヨちゃんに至ってはお弁当を持参している大工さんに味噌汁を作って出したりもする。
　まあ、最近キヨちゃんもそこまでは出来ないのだが、それでもお茶やお茶菓子は準備する。暑い時期なので、ジュースなどを冷やしておいたり、私が作った冷たいお茶などを出したりもする。
　さて、昨日は私は研修で早朝から家を出た。朝、大きいペットボトルに冷たいお茶を準備し、お茶菓子は菓子器に準備した。一応キヨちゃんに説明したが、昨日はキヨちゃんもデイサービスの日だったので、タイミング良くお茶を出す事が出来ない。だから、出掛ける前に日陰にでも出して、おじさんに声をかけて行ってくれればと思っていた。
　ところが、このことをキヨちゃんはスコーンと抜かってしまう。幸い、昨日キヨちゃんがデイサービスだと分かっていたおじさんは、自分で飲みものなどを持参していたらしい。
　さて、デイから戻ったキヨちゃん。おじさんに声をかけ、ふと見ると見慣れないクーラーボックス。
　「すず、これで用意したんじゃなあ。こんなところに置いたままではダメじゃわ。」
とひとりごち、さっさとクーラーボックスを家に中に片づけた。
　察しの良い方はもうお分かりだろう。はい、これはおじさんのマイクーラーボックスである。仕事を終えたおじさん、
　「あれ？キヨちゃん、わしのクーラーボックスは？」
　そこで初めて気づいたキヨちゃんは大笑いだったと言う。
　油断大敵、何でも取り込まれてしまうキヨちゃんワールドである。

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