すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1040号 東京圏の人々は酸欠にならないんだろうか

2012-02-09 13:49:16 | Nagano Report
【Nagano】私は東京はどうも苦手で、用事がある時にしか行かない。新幹線でゆっくり日帰りの所に住んでいるのに、数えてみたら長野県に住み始めて5年間に行ったのは8回しかない。会社の出張、お葬式、通過しただけを除くと、その回数はたったの4回になってしまう。

田舎に住んでいると間に合わないことも多いので、東京に行くことがあればやりたいことを日頃からリストアップしている。ところが、いざ行ってみると、東京の人の波と密集して立つ大小さまざまの建物に気持ちと体がついていかず、もともとの予定で行った場所から歩いて行ける範囲で済ませられることだけを済ませてしまうと早々に戻って来るのが常だ。すると、予定を全部こなせていないので気持ちの上で大きな疲労感が残る。

先週末、急遽東京に行くことになった。行くことに決めたのは前日の夕方だったので、久し振りに会いたい人達もいるし、東京でしたいことのリストも長くなっていたが、盛り沢山に予定を立ててもどうせすぐに戻って来たくなるのだからと、今回は最初から用事が終ったらすぐに帰って来ることにした。実際、午前11時頃に東京駅に到着し、午後2時過ぎにはもう帰りの新幹線に乗っていた。

時間を決めずに駅に行って乗れた新幹線は、佐久平を出ると軽井沢も高崎も全部すっ飛ばし、最初に停車したのは大宮だった。その日は快晴で、関東平野に入ると富士山がずっと見えていた。我が家のあたりでは土地の高低に拘わらず富士山との間にある山次第で富士山が見えたり見えなかったりするが、ずっと見えている富士山を見ながらさすが関東平野は広くて平らだと感じた。

ところが富士山そのものは美しいのに東海道新幹線で見る時のような感動がない。見ているうちに気がついた、長野新幹線から見る富士山は裾野は見えず、見渡す限りごたごたと立ち並ぶ建物の上になびくピンクのスモッグの上に浮かんでいるのだ。

東京に近づくに連れ、建物は更に密集度を増し、見える緑と言えば神社などに張り付くように立っている全体から見ればほんとにわずかな木々だけである。密集して立つ建物群を見ているうちにだんだん息苦しくなってきて、大宮に近づく頃から東京駅までほとんど目をつぶっていた。

行き先は銀座。都区内JR乗り放題の週末切符で行ったが、東京駅の人ごみと、乗り換えまでと降りてから歩く距離を考えると歩いた方が気持ちがいいと、東京駅から銀座まで歩いた。途中見た緑もなく建物が密集した景色と東京駅や銀座の人ごみに、東京圏に住んでいる人々は酸欠になっているんではなかろうかと心配になった。

三代も住んでいる江戸っ子達は生物進化を成し遂げて少ない酸素でも十分生きられるようになっているかもしれない。しかし、学校や仕事のために緑豊かな地方から来て東京に住むことになった人などは酸欠で思考も妨げられるのではないかと思ってしまう。政治家やお役人達を見れば酸欠状態による思考能力の低下を疑いたくもなる。

(編集部=写真は筆者の眺めた富士山とは異なり、東京・調布市の富士見町からの遠望です)







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