みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

賢治と一緒に暮らした男(22)

2011-09-10 09:00:00 | 賢治渉猟
22.下根子桜寄寓の切っ掛け
 以前引用した『イーハトーヴォ復刊2』の中で
 (宮澤賢治は)次第に一人では自炊生活が困難になって来たのでしょう。私のところに『君もこないか』という誘いが参り、それから一緒に自炊生活を始めるようになりました。
と寄寓の切っ掛けを千葉恭は語っている。
 一方、このことに対して千葉恭のご子息Mさんは
 『父は上司とのトラブルが生じて穀物検査所を辞めたようだが、実家に戻るにしても田圃はそれほどあるわけでもなし、賢治のところへ転がり込んで居候したようだ』
と私に語ってくれた。そういえば千葉恭は実家の水田は八反歩、畑が五反歩と言っていたはずだからたしかにそれほど田圃は広くはない。まして当時は今と違って、途中で職を辞すことは恥ずかしいことであるという風潮があったはずだから、穀物検査所に勤め始めて3年しか経っていない千葉恭としてはおめおめと実家に帰れはしなかったであろう。
 いまとなれば、千葉恭が賢治から誘われたのか、それとも千葉恭が自ら転げ込んだのか、はたしてどちらがより本当のことだったのかは判らない。というよりは、どちらも本当で…お互い渡りに舟だったのかも知れない。

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