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《「脱皮したばかりのカマキリ」振りかざす斧も弱々しい》(平成25年7月26日撮影)
鈴木
それじゃ、児童向けのこんな本があるのでこの本を元にしてしばし話し合ってみようか。この本は、あるシリーズの中の一巻であり、「芸術のヒーロー」ということで何人かの歴史上の人物を取り上げているのだが、その中の一人として賢治も登場している。
荒木
へえー、執筆は「ある、児童文学文芸協会」、発行は2009年となっているから、最近の親御さんたちは2,800円払ってでも我が子のためによかれと思ってこの様な高価な本を買え与えるんだ。
鈴木
なあに、荒木だって漫画本結構沢山買って貰ってたじゃないか。
荒木
えへへ、お小遣いを貯めて、親にこっそり、内緒でな。
吉田
しかしこの本、なかなか立派な作りの本ではないか。今の子どもたちは恵まれているよ。僕などは、こんな立派な本など全然買って貰えなかったものだ。
鈴木
では、その本の中の賢治の章、「命をかけて、農民の幸せを願った童話作家 宮沢賢治」というタイトルの章を見てみよう。
荒木
なんだよ、その仰々しいタイトル。俺などはかえって訝ってしまう。
吉田
そうだよな。このようなタイトルであれば、この本を手に取った子どもたちは、賢治はとても素晴らしい人物だったのだと端から素直に信じ込むことはほぼ間違いなしだから。
鈴木
そして私のように素直な子どもは、「賢治は、貧しい農民たちのために自分の命を犠牲にしてまでも献身しようとした天才詩人であり童話作家である」と「刷り込み」をされてしまう。
荒木
素直だって、よく言うよ。
吉田
まあまあ……いや確かに。
それにしても、この本の執筆者はそのような「刷り込み」となることを危惧しなかったのだろうか。大人向けであれば、批判精神を持っているからこのようなタイトルでも許されるとしても、純真無垢な子どもたちに向けてこのようなタイトルにするということは、如何なものか。まして、賢治が「命をかけて、農民の幸せを願った」とはたして言い切れるかだ。
鈴木
たしかに、賢治はある程度はそう願ったかもしれないが、「命をかけて、農民の幸せを願った」とまでは、私が今まで調べてきた限りではとてもとても言えない。それは、「命をかけて願った」という理由も根拠も見つからないからだ。この本の執筆者は何を元にしてこう言いきれるんだろうか。
吉田
それはそれこそ、前回まで話題にしてきたような著名な賢治研究家の著作によってだろう。例えば、
という様な記述を執筆者も信じ込み、それを児童向けの表現に翻訳してこのタイトルにした、とか。
荒木
その結果、被害を受けるのは子どもたち。「ヒーロー」と銘打った児童向けの本で、「命をかけて」と修飾したタイトルを見てそれだけで、「賢治って、まじやばくね」と感嘆。そして、「賢治という童話作家はヒーローだったんだ」といともたやすく思い込む子どもたち、という図式でだ。
吉田
しかもその「刷り込み」は生涯続き、そのような子どもたちが大人になったならば今度は、
“英雄たちの選択”「本当の幸いを探して 教師・宮沢賢治 希望の教室」
などというような番組を創って、視聴者を煽動する。
鈴木
そうなんだよ、彼らには煽るつもりはなかっただろうとは私は思いたいのだが、あのような番組を公共放送で流すということについては結果的にはかなり罪深いと私は言いたい。
吉田
いずれ、批判力の乏しい子どもたち向けの、賢治をヒーロー扱いしているこの児童書はかなり問題作だな。
荒木
はてさて、この児童向けの本はタイトルからしてかなり問題を抱えていそうだが、そろそろ中身に入っていくべ。
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
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〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました。
そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
電話 0198-24-9813
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