みちのくの山野草

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全国優良農具実演・肥料展覧会

2021-03-21 12:00:00 | 賢治の「稲作と石灰」
【東北砕石工場技師時代の賢治(1930年頃 撮影は稗貫農学校の教え子高橋忠治)】
<『図説宮澤賢治』(天沢退二郎等編、ちくま学芸文庫)190pより>

 今回は、「全国優良農具実演・肥料展覧会へ出品」という項からである。佐藤氏は、
 九月八日には、県立農業試験場三〇周年記念、全国優良農具実演・肥料展覧会へ出品のため、盛岡へ行く。同月一一日から一五日まで開催されるのだが、その準備のためにである。
             〈『あるサラリーマンの生と死』(佐藤竜一著、集英社新書)156p〉
と述べ、続いて昭和6年9月8日付東蔵宛書簡を紹介し、「大会社と肩を並べて出品できるうれしさが満ちている手紙である」と評していた。
 たしかにその書簡中には「百万級の大会社と肩を摩して出品致すべく候。高農林及試験場の水稲への効果顕著。前途甚光明有之候」とあった。ただし残念なことは、同書簡による限りでは、「主語」が不明なことだ。つまり、何が「水稲への効果顕著」なのかということを私は知りたがったのだが……。

 そこで、以前つくった「東北砕石工場技師時代の賢治の動向」一覧の後半部分を一度確認してみると、




     <『新校本宮澤賢治全集第十六巻(下)年譜篇』(筑摩書房)より拾い上げた>
ということだから、「県立農業試験場三〇周年記念、全国優良農具実演・肥料展覧…(投稿者略)…同月一一日から一五日まで開催される」というのに、11日~12日にはその会場には行っていないことになりそうだ。
 すると、佐藤氏はこの項の最後で、
 疲労のため、ぐったりした賢治だが、休もうとはしなかった。宣伝パンフレットやチラシ類を来場者に配り、熱心に説明をしていた姿を見ていた工藤藤一は、それほどまでしなくてによいでしょうに、と賢治に声をかけた。紹介した手紙の文面とは裏腹に、賢治の前途には暗雲が立ちこめていたのである。
             〈同157p〉
と述べているように、もはや早い段階から賢治は疲労困憊していたのだろうか。

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