みちのくの山野草

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出版社が、何とも牽強付会なことを

2021-11-13 18:00:00 | 「賢治年譜」等に異議あり
《『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版)の表紙》

 先に私は、『校本宮澤賢治全集第十四巻』における〝「新発見の252c」等の公開〟もまた、一つの「腐りきって」いた事例であったと判断せざるを得ないことを知ったわけだが、同巻には他にも似たようなことが載っているのである。

 そこで、まずは拙著『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』の次の「一 「それはないでしょう」」を紹介したい。
【22p】

 一 「それはないでしょう」
 「えっ、いくらなんでも!」、と私は思わず声を発した。それは、『新校本宮澤賢治全集 第16巻(下)補遺・資料 年譜篇』(以後、『新校本年譜』と略称)における、大正15年12月2日の次の記載を見て、「それはないでしょう」、とである。

一二月二日(木) セロを持ち上京するため花巻駅へゆく。みぞれの降る寒い日で、教え子の高橋(のち沢里と改姓)武治がひとり見送る。「今度はおれもしんけんだ、とにかくおれはやる。君もヴァイオリンを勉強していてくれ」といい、「風邪をひくといけないからもう帰ってくれ、おれはもう一人でいいのだ」と言ったが高橋は離れ難く冷たい腰かけによりそっていた(*65)。………○×
 *65 関『随聞』二一五頁の記述をもとに校本全集年譜で要約したものと見られる。ただし、「昭和二年十一月ころ」とされている年次を、大正一五年のことと改めることになっている。 〈『新校本年譜』325p~〉

 なんと、あの筑摩書房が、「……要約したものと見られる。ただし、「昭和二年十一月ころ」とされている年次を、大正一五年のことと改めることになっている」という、まるで他人事のような言い回しで、その典拠も明示せずに、「関『随聞』二一五頁の記述内容」を一方的に書き変えていたことになる。
 はてさて、他人の記述内容を、その典拠も明示せずに一方的に書き変えるということがはたして許されるものなのだろうか。こんなことをしたならば、「出版社が、何と牽強付会なことをなさるものよ」と、眉を顰める人だっていそうだ。その一方で、このような処理の仕方は大問題だということを指摘している賢治研究者等を、私は残念ながら未だ誰一人として見つけられずにいる。なんとも不思議な世界だと、門外漢で非専門家の私は思わざるを得ない。

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《ご案内》
 来る12月16日付で、新刊『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版、550円(税込み))を発売予定です。
【目次】

【序章 門外漢で非専門家ですが】

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