気の向くままに

山、花、人生を讃える

NHK総合の「平成万葉集」より

2019年05月06日 | 平成万葉集

何時頃だったか、ずーと以前に、「昭和万葉集」なるものが出版されたことがあります。

昭和に詠われた短歌を集めたものですが、時代を反映して、戦争に関しての歌がたくさんありました。

 

そして時代が変わり、つい最近、NHK総合テレビで「平成万葉集」と題した番組が放送されました。
NHKによると日本の短歌人口は100万人らしいですが、その中から厳選したという短歌が3回にわたってこの番組で紹介されました。

第1回「ふるさと」、 第2回「男と女」、 第3回「この国に生きる」というサブタイトルでした。

私は録画しただけでまだ第1回の半分しか見ていませんが、以下に紹介するのは、その第1回「ふるさと」の前半で紹介されたその一部です。

(以下NHK「平成万葉集」より)

 

74歳の春子(仮名)さんは兵庫県に住んでいるが、故郷は岡山県の山奥とのこと。その春子さんの歌。
(テレビでは実名で紹介していたが、ここでは仮名)

 

     早蕨(さわらび)の萌ゆるを待ちて故郷へ

             アクセルを踏む陽のやわらかし

 

春子さんの母、八重子(仮名)さんは、現在、御年99歳。その八重子さんのご主人は35年前に他界され、それから一人で生きてきたという。その八重子さんの歌

 

     家五軒住人四人の雪の村

               声かけ合うて春を待ちいる

 

八重子さんの村は、多い時には40人いた。そしてご主人が病気になって入院したときには村のみんなが農作業から家事まですべてを手伝ってくれ、それがとても嬉しかったと笑顔で話す。しかし、平成になり1人減りまた1人減りで、今は村で八重子さんがただ1人暮らしているという。八重子さんには4人の娘さんがいてかわるがわる心配して見に来てくれるらしい。

同じく八重子さんの歌2首

 

     娘(こ)が来れば家事一切を取りしきり

               客は私でおいしく食す

 

       次々と空き家となりて吾ひとり

                     強く生きんと今日も鍬(くわ)振る

 

 

短歌ノートをかかえてはにかむ八重子さん

 

 

次は74歳の娘、春子さんの歌

 

              永遠(とこしえ)に続けと祈るふるさとは

                    緑かがやく春にしあれば

 

99歳、八重子さんの歌

 

     大正から農一筋に生きてきて

              心新たに御世を寿ぐ   (御世は御代の間違いではないかと思う人もいるかもしれませんが、字幕は御世でした)

 

取材の記者と歩きながら「わたしの方が早いね」と笑う八重子さん。

 

99歳と74歳の母と娘、短歌を通して通い合う心、そして山奥で、ひっそりと一人生活しながら、歌を友とする八重子さん。

世の中にはこんな人もいるのかと、感動させられました。

 

 

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