ども、砂川です。
「沈黙」からの流れで遠藤周作さんの「侍」を読みました。
率直に、「沈黙」にも負けずとも劣らない大作であると思いましたし、悲劇的な結末は涙が流れそうになりました。
藩主の命によりローマ法王への親書を携えて、「侍」は海を渡ります。
野心的な宣教師「ベラスコ」を案内人に、メキシコ、スペインと苦難の旅は続き、ローマではお役目達成のために受洗を迫られ・・・。
慶長遣欧使節を題材にした小説で、「とある藩の下級武士」とありますが、その藩とは仙台藩で、藩主は伊達正宗です。
7年に及ぶ旅の果てに故国へ戻ると、そこはキリシタン禁制、鎖国となった「別世界」で、なんの評価も恩賞も受けることなく、「キリスト教に帰依した」という罪で死罪となります。
藩命を遂げるため、先祖代々の土地を守るためにただひたすら愚直に生きる「侍」、あるいは成果を出せなかったことを理由にメキシコで切腹をする同行の使者、野望と計算で生きる宣教師にはそれがまったく理解できません。
信念とは、忠義とは、信仰とは何か、を問いかける小説ではありますケド、その根底にあるのは「日本人とは何か」であると思います。
武士に限らず、農民・商人に限らず、そういった「日本人」が作ってきた歴史によって成り立っている「日本」という国、その中で自分はどう生きるのか、というコトを深く考えさせられました。