ども、砂川です。
井上靖さんの「北の海」上下巻を読み終えました。
「しろばんば」「夏草冬涛」につづく自伝的長編で、これでいっきに読んだコトになります。
幼少期から祖母に預けられ、家庭の雰囲気というものを知らずに育った洪作は、高校受験に失敗し、ひとり沼津で過ごします。
両親がいる台北に行くべきだという周囲の意見をかわし、暇つぶしに母校へ柔道の練習に通ううちに、「練習量がすべてを決定する柔道」という四高柔道部員の言葉に魅了され、まだ入学もしていない金沢へ向かいますが・・・。
とても読みやすい文体で、あっという間でした。
クライマックスというかオチもない物語ながら、複雑な育ち方をした思春期の主人公の感情が細やかに描かれていて、本当に美しい小説です。