令和6年8月22日(木)
20日、富士市内の専業農家との意見交換会が開催され、私は講師と招かれ地域の農業の現状や課題、将来の展望などについてお話をさせていただくとともに、当事者の貴重な意見を聞く機会となりました。
きっかけとなったのは、毎年、暮れに地元JA壮年部が主催する懇親会に招かれた際、隣に座っていた方から地域農業の厳しさをお聞きし、私からは県の施策などについて説明し、行政支援そのものが十分に伝わっていない現状を知ることになりました。
その後、今年度に入り、暮れにお会いした方から、市内の専業農家に県の取り組みなどを説明する機会を作ってくれないかとの問い合わせがあり、私も地域の課題等を知るよい機会と考え快諾しました。
その後、開催に向けた準備が始まり、こちらが伝えたいことを自由に選択するよりも、彼らが何を知りたいのか、どのようなテーマで内容を練るべきか、彼らに選択していただくため、質問形式の講演テーマを作っていただき、それに応える形で講演を進めました。
講演の準備には、県所管部署職員にも応援を求め、関係する資料収集などでお力添えをいただきました。
予めいただいたテーマは、①東部・富士地区で推し進めている事業。②農業関係で目指しているもの。③これからの農業の展望。の3点です。
①に関しては、(1)未来につながる生産基盤の整備と担い手の確保。(2)酪農・茶農家の連携による循環型農業の確立。(3)富士地区の茶産地構造改革アクションプログラムの策定。(4)富士地域農業のブランド力の向上について説明しました。
②に関しては、(1)農業の生産性向上と環境負荷軽減の推進。(2)次代を担う農業経営体の育成。(3)市場と生産が結びついたマーケティング戦略の推進。(4)人々を惹きつける都づくり。(5)美しく活力のある農村の創造について、「富士地域の重点プロジェクト」を例に説明しました。
③に関しては、農業経営を取り巻く、価格競争、肥料や飼料等の資材および燃料高騰などによる厳しい現状について触れ、日本は人口減少が大きな課題ですが、海外では人口が増え続け、食料確保が熾烈さを増し、その影響は資材や燃料とともに食料自体を「輸入」に頼る日本の将来は、このままでは済まされず、その対策が急務であることを伝えました。
食料自給率を高める必要があり、資材等も含め「輸入」にできるだけ頼らない体質を強化していく必要があります。農業は国を維持するためには、最も重要な分野の一つで、国は「食料・農業・農業基本法」を改正し、その強化に努めており、農業従事者だけでなく消費者である国民にも広く理解と協力を求めることが重要と伝えました。
聴講された皆さんは、農業の重要性は今後ますます高まることはご理解いただいたと思われますが、それを生業として続けていくためには、安定した経営をどう実現していくかが大きな課題で、自らが経営者としてどう取り組んでいくのか、それを行政がどう支えていくのか、まだ十分に見えていないようにも感じました。
今回の講演を通じて、県の支援策等はご理解いただけたと思いますが、その情報は、現場に十分に伝わっていないようにも感じます。
準備段階で県農林事務所担当者と意見交換した中では、農林事務所の人員配置は十分でなく、各農家に対応できる状況にない。しかし、モデル事業を実施し、それを地域に広く普及させている。年度毎の新しい支援策等については、農林事務所から市の農政所管部署やJA所管部署に伝えているが、それが現場に十分伝わっていない課題があると話していました。
農業従事者への一体となった行政支援の在り方も、まだまだ見直す必要があると感じました。