海上自衛隊の艦船が、一度その任務に就くと長い航海に成ってしまう。
そんな最中の隊員達の数少ない楽しみの一つが三度の食事だと言う。
その性か自衛隊の中での食費は、海上自衛隊が一番高いのだそうだ。
毎日変化の乏しい海ばかりを目にしているのだから、解るような気がする。
しかし楽しみな食事を重ねていても、次第に隊員の曜日感覚がずれてしまうの
だそうだ。それを忘れないようにするために、毎週金曜日の昼に振る舞われた
のがカレーである。
呉基地に所属する艦艇等では、それぞれの艦が独自のレシピを持っていると
言われている。そのことは、その数だけ多彩なカレーがあると言うことだ。
呉の町ではそこに着目し、各店が艦毎のカレーの味を忠実に再現し、艦長や調
理長のお墨付きを得て、市民が気軽に食べられるように商品化した。
呉の町ではこうした「海自カレー」が評判だと言う。
年に一度フェスタが開かれ、お店を巡るスタンプラリーなども折りに触れ企画
されている程だ。今ではホテルのレストランや食事処、喫茶店など、およそ30
店で味わうことが出来るという。
こんな地を訪れていると言うのだから、幾らかの味に触れてみたい所ではある
が、団体行動の悲しさ、時間がなく自由がきかない。
僅かばかり用意された自由時間では、カレーを一杯食すことも出来ない。
帰り際に併設されたショップで、お土産のカレーを手にするのみだ。
未練ばかりが募り後ろ髪引かれる想いで、帰途につくバスに乗り込む事となった。
(海上自衛隊呉基地見学記 完)
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