簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

四国遍路 台風銀座

2010-06-07 | Weblog


再びスカイラインを下るが、この道は足に来る。
テーピングしたとは言え、水疱が潰れた皮の始末はしていない。
滑らないようしっかり踏ん張るから足とテープが靴の中でずれるようで気持ちが悪い。
気持ちが悪いだけなら我慢も出来るが、ずれるから痛みも伴いこれがキツイ。



降り切ると国道に並行して坂本、津呂の集落を抜ける旧道がある。
広い道を歩いていると、いたるところに“昭和9年 海嘯襲来地点”の石碑を見かける。
広辞苑で“海嘯”を調べて見ると、読みは“かいしょう”とあった。
“満潮の際に遠浅の海岸、特に三角形状に開いた河口部に起こる高い波”で、津波とは
異なるようだ。



昭和9年9月21日室戸岬付近に上陸した台風は、911.6hPaの最低気圧を記録し、大阪湾を
横切り近畿地方に再上陸、猛烈な勢力を保って駆け抜けた。
各地で高潮の被害が発生し死者・行方不明者は3,036人,負傷者は1万5千人近くとなる
未曾有の被害が発生した。
所謂室戸台風だ。

この室戸岬周辺の集落にも大きな高潮が押し寄せ、甚大な被害を齎した。
石碑はこのときの高潮の襲来を今に伝えるものらしい。



そんな海難を防ぐためか、ここら辺りは随分と高い防波堤で町全体が守られている。
更に各家々のブロック塀もやたらと頑強なつくりでその上随分と高い。
いつも強風が吹荒れるところなのであろうか、山の木々は真直ぐ直立しているものは
殆ど無く面白いように曲がっている。
ここは“台風銀座”。
昔から台風と人間が熾烈な戦いを繰り広げてきた土地なのであろう。(続)


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四国遍路 最御崎寺

2010-06-04 | Weblog
バスは早い。
10キロほどの道のりを僅か20分ほどで駆け抜けていく。





車窓から“青年大師像”が見えてきたところでバスを降りる。



5分ほどで大師像の下に到着。
ここからは暫く海岸の遊歩道を歩いて大師が修行したとされる御蔵洞に立ち寄り、
24番を目指す。


景色に見とれ海岸の遊歩道を歩き続けていたために、肝心の登山口を通り過ぎて
しまい、結局スカイラインを登ることになった。

今日は天気がいいから汗ばむほどだ。
太平洋の眺望は素晴らしく、この景色が気を紛らわし,慰めてくれるから、結構
キツイ上りの割にはさほど疲れは感じない。
足もテーピングのお陰で痛みはあるものの歩けない痛さではないから有りがたい。



30分ほど登ると門前の駐車場に到着する。
ここにもたくさんの乗用車やバスが犇いている。
車から降りた人々が、一団となって急坂を登っていく。
狭い車内から開放され、その足取りは軽い。

暫く行くと左手に札所の山門が見えてくる。
桜の咲いた境内は、さすが観光地だけあって遍路や観光客で賑わっていた。



始めてこのお寺を訪れたのはまだ20代初めの頃、田宮虎彦の小説「足摺岬」を
読んで、どんなところかこの目で見たくなり遥々足摺岬を訪れたことがあった。
その帰途、折角だからと、この室戸岬にも足を伸ばした。

電車とバスを乗り継いで、夜遅く岬の登山口でバスを降りた。
車掌さんに教えられた道ではあったが、暗く厳しい山道を一人で心細く登った
記憶は今も忘れてはいない。
当時泊まったユースホステルはまだあるのだろうか。
その後車では何度も訪れている場所ではあるが、やはりこの地に立つと懐かしさ
がこみ上げてくる。(続)


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四国遍路 アクシデント

2010-06-02 | Weblog
女将は「まだ一人、歩き遍路が到着しないのだと」気を揉んでいる。
「女性だから・・・」と心配の様子。外はすっかり暗くなっている。



早々とビールが一本空いた。
こんな疲れた日にはもう一本欲しいところだが、先程の大女将の話もあり自重した。
それにしても相棒の風呂が長い。どうしたのだろう。



訝っていると、「意識が無くなって・・・」と言いながら、ふらふらとした足取りで
風呂から上がってきた。
食卓の皆が「えっ」となる。
相棒は「暫く横になる・・」と言って階段を上がり部屋に入って行った。
女将が「お冷を」「それから血圧も測ってみて」と従業員にテキパキと指示を出す。

「寒気がするから布団が欲しい、暖房入れて」力なく相棒が訴える。
下から布団を運んで、暖房を入れる。
血圧に異常はなさそうだ。顔色もそんなに悪くは無い。

バタバタと心配したが、暫くして落ち着きを取り戻した。
宿の配慮で部屋に夕食を運んで貰うと多少の食欲も出て食べる事ができ、先ずは一安心。



翌日朝食時、昨夜到着が遅くなった一人歩きの女性と一緒になった。
「真っ暗な道で怖かったが、途中ジョギング中の婦人が励ましてくれて嬉しかった」と
昨夜の体験を聞かせてくれる。
足のマメの話をすると「今日で終わるから使ってください」とテーピングテープをくれた。

昨夜風呂上りにカットバンで治療をしてはいたが、とてもそれで手に負える状況ではなく、
これは有りがたい。
しっかりと巻き上げてみると、足の痛みはあるものの、何処まで持つのかわからないが、
何とか歩けそうだ。
しかし、昨夜の相棒の事もあり、この足の大事も取って、今日は宿から岬の近くまでバス
を利用することにした。(続)


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