簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

「花へんろ」の町と老舗宿

2012-11-05 | Weblog
 さすがに北条の町に入ると、町並みも、道行く人や車にも多少賑わいが増してくる。
北条駅を右に見て、辻町商店街を進むと、かぎ型に曲がる道路があり、曲がった先に
「花へんろの町」と書かれた看板がある一角に出くわした。



 何となく懐かしい、聞き覚えのある言葉だと思ったら「早坂暁の故郷」と書かれている。
NHKのテレビドラマでやっていたらしく、題名には記憶があるが、見た覚えはないので、
おそらく作品としての題名に覚えが有ったのかも知れない。



 風早町(現北条町)の、遍路道に面した商家で生まれた作者の自伝的な小説の舞台
となったのがこの町らしい。



 今晩の宿「大田屋」は、ここから100mほど歩いた右手にある。
嘉永6年創業と言う、「元祖鯛めし」が自慢のビジネス旅館である。
 泊り客は三人で、他は太山寺から前後しながら歩いて来た、あの若い女性の遍路
だけで、我々が到着した時にはまだ着いていないと言うので、一番風呂を頂いた。



 楽しみな夕食は、大きなタイの頭の煮つけ、それに酢の物や刺身などが並び、締めは
鯛の炊き込みご飯と潮汁だ。鯛めしはこの地方に昔から伝わる伝統食らしい。
 夕食を取らないと言う風呂上がりの彼女を、「こんな美味しいものがあるのに・・・」と
話の輪に誘い、折角だからとタイ飯をお握りにしてもらう。



 他にお客もいないので、しばし遍路談義、人生論(?)に遅くまで話の花が咲く。 
それにしても、お寺では作法通り務めていたようだし、何より一人で回る気力・体力が、
この30代半ばの、ごく普通の娘さんにしか見えない華奢な身の、どこに潜んでいるので
あろうか・・。
傍らで美味しそうにお握りをほおばる彼女を眺めながら思うのである。(続)


   にほんブログ村 旅行ブログ 遍路・巡礼へにほんブログ村


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 瀬戸内の海に沿って(四国遍路) | トップ | 空腹抱えて(四国遍路) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事