簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

新居の関所 (東海道歩き旅・遠江の国)

2020-12-09 | Weblog
「サァサァお関所前でござる。傘を取ってひざをなおさつしゃりませ」
舟中で蛇使いの蛇が逃げ出し、おまけに腰に差した脇差しが海に落ち、
竹光と知れる大騒動を繰り広げた弥次さん喜多さんたちと乗客に、船頭
がたしなめる。



 舞阪の湊から渡舟で運ばれた旅人も、ようやく安堵の胸を撫で下ろす
のは、行く手に新居の湊の常夜灯が見えて来る頃で、今切の渡し舟は暫
くして関所の柵内に着岸する。旅人は笠を外し、居住いを正し、厳めし
いお役人さんの容赦の無いお調べを受ける事になる。
ここは厳しいお調べで知られる「新居の関所」である。



 新居の関所は慶長5(1600)年に創設されたと伝えられている。
それは箱根に関所が設けられる20年も前のことで、江戸に幕府を開いた
徳川家康が、東海道の中でもここを如何に重要視していたか窺い知れる。



 それだけに、代々この関所は権威を持ち、「入り鉄砲」は勿論のこと、
「出女」のみならず「入女」のお調べも殊の外厳しかったようだ。ここ
ではたとえ武士でも、いちいち輿から降り挨拶をして通らなければなら
なかったと伝えられている。



 海抜2m程の地にある関所は、度々地震による津波や高潮により被害
を受けたと言う。
その度に移転を繰り返し、その数は三度と言われ、現在のJR新居駅の
西側に落ち着いたのは、開所から100年ほども後の宝永5(1708)年に
なっての事だ。



 ここには安政年間に立てられた建物が残されていて、隣接地の新居関
所資料館と共に一般に公開されている。
関所の建物が現存するのは、全国でもここだけで、「特別史跡」の指定
を受けている。(続)





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