簾 満月「バスの助手席」

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供養の藤戸まんじゅう(JR乗り潰し・本四備讃線)

2022-04-06 | Weblog

 倉敷川の袂、藤戸寺の門前近くに、倉敷銘菓「藤戸まんじゅう」本店
の重厚な構えの店が建っている。

 店の前には、旧藤戸町の「道路元標」を示す石柱が残されている。
恐らく店の前の細い道が従来の旧道で、寺の境内がここまで広がってい
たのであろうか、今は直ぐ近くに新道が通されている。



 その昔、源平の争いが終わり、藤戸の合戦で功を上げた佐々木盛綱が
地頭として当地に着任した。
手始めに戦で荒廃した藤戸寺の復興をはかると同時に、自らが口封じの
ため殺害した若き漁師や、犠牲になった兵士の回向を行った。



 供養は藤戸寺で盛大に行われ、その折、近くの民家からは饅頭が供え
られた。
当初の事は記録もなく良く解からないが、今の物とは形も味も違うお餅
に近い物であったらしい。
それを起源とするのが、この「藤戸まんじゅう」とされている。



 この饅頭屋の創業は寿永3(1184)年と言うから、鎌倉幕府の成立よ
りも早い老舗である。
但しまんじゅうが現在の形になるのは、江戸後期の文化年間の事らしい。 
初期の頃は、藤戸寺境内の茶店で販売されたり、参拝者向けに配られた
りしていたが、店舗を構えてからはここを中心に販売をしたそうだ。



 地元産の麹を使った酒粕から絞られた甘酒と、小麦粉が原料の薄皮で、
十勝産の小豆で作るこし餡を包んでいるので、ほのかに甘酒が香る。
透明な薄皮と餡の絡みは絶妙で、口に含めばなめらかでしっとりとした
舌触り、まろやかで上品な甘さが感じられる薄皮まんじゅうである。



 無添加で素材の味を生かした、素朴で飾らない倉敷銘菓である。
岡山にはよく似た「大手まんじゅう」もあり、共に歴史を誇り、何かと
比べられるようだが、何れも地元からは絶大な支持を得ていて、甲乙付
け難い岡山が誇る和菓子と言える。



 この重厚な構えの店舗は、明治時代も初期の頃に建てられたもので、
築100年以上経つと言い、これもまた藤戸の名物となっている。
昔を感じさせる建物は、映画「ALWAYS三丁目の夕日」の撮影でも使
われた。(続)



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