境橋を渡り国道1号線を歩き、名鉄名古屋本線の「中京競馬場前駅」
にやってきた。
名古屋市の東に隣接する豊明市に国営の競馬場(今日の中京競馬場)
が開設されたのは、昭和28(1953)年8月のことだ。
第一回の国営競馬も、この年に開催されている。
その開業に先立つ一ヶ月前、名古屋市の南の端に、その最寄り駅とし
て名鉄・名古屋本線の新駅が開業している。
駅を出ると競馬場入口までは屋根付きの遊歩道が設けられているようで、
徒歩10分ほどかかるそうだ。
この地は桶狭間と言われる所で、かつてこの駅の近くには、愛知電気
鉄道の「桶狭間駅」が存在した。名鉄の社史によるとこの駅の開業は、
昭和6(1931)年で、どういう訳かその僅か三年後には廃止されている。
愛知電気鉄道と名岐鉄道が合併し、今日の名古屋鉄道と言う社名に変更す
る一年前の事だ。
桶狭間は知多半島の付け根付近、豊明から名古屋市南区にまたがる緩
やかな起伏に富んだ有松丘陵に有り、灌漑の水を得るため池や沼地、深
田が散見される地域である。
今では名古屋市のベッドタウンとして住宅地が広がり、国道1号線が
抜けるその駅前も賑やかだが、当時は山間でなにもない僻地で有った。
そんな地を一躍有名にしたのが、「桶狭間の合戦」である。
上洛を目指す今川義元の大軍を、この地に迎え入れた織田信長が野望を
打ち砕いた戦で、この桶狭間一帯で繰り広げられた。
最も桶狭間という地名は、限られた地の固有名詞ではなく、漠として広
がるこの辺り周辺を言い、戦いも相当広範囲で行われたらしい。(続)
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