今晩の宿は、「上宇和を過ぎたところ」だと話すと、今来た道を引き返すのは遠回り
だから「厳しい登りが5分ほど有るが、近道だから・・」と、門前の茶店で教えてくれた
裏山を抜ける道に本堂脇から入り込む。
「宇和文化の里」の看板に導かれ、山に入るといきなりの登り道である。
夫婦で有ろうか、鈴を響かせながら、男女二人連れの遍路が少し前を歩いている。
ここに来て、夫婦遍路を見るのは珍しい。
一本松の民宿・大盛屋の女将ではないが、何時も一緒に歩いていれば喧嘩になる
ことも度々有るかもしれない。
第9番札所・法輪寺前の茶店で一緒に成った夫婦遍路は、奥さまが膝を痛め、土佐
一国の区切り打ちの途中で断念している。
第21番札所・太龍寺に向かう山道で出会った夫婦遍路は、「主人が待ってくれなくて・」
と言いながら、山道で先行するご主人を奥さまが追いかけていた。
このように男女では体格差も有り、歩調を合わせ歩き続けることは結構難しいと思わ
れるが、そんな事情がどうかは、定かには解りかねるが、土佐から伊予路に入ってから
は余り夫婦連れの遍路にお目に掛ってはいなかった。
夫婦とは言え、四六時中顔を合わせ、長い道中を歩き続けるのだから、お二人の気
苦労も多いで有ろうことは想像に難くない。
お互いの協調の上に、寛容の心、我慢強さ、忍耐力、辛抱強さ、包容力、等々あら
ゆるものが備わっていないと出来得ない事なのか、とも考えたりする。
決して体力と資金と暇だけで為し得るものでは無いことは確かであろう。(続)
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