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Juppensya Ikku's self-portrait

2010-02-14 | prose
       十返舎一九自画像&東海道膝栗毛画帖 十返舎一九筆:個人蔵

 隣り街にある、いろんな物を扱っているリサイクルショップへ泉鏡花の古本を探しに行ったらやっぱりなかった。
その代わり、自分にとっては掘り出し物を見つけたのでホクホクして帰ってきた。

 日本の古典シリーズの15巻め「グラフィック版東海道中膝栗毛」。
今から30年前1巻2400円で出版されたものが500円。外箱も傷がないし、なんといっても内容が充実している。

 十返舎一九の「東海道中膝栗毛」の現代語訳版で、一九が描いた挿絵や広重の東海道五十三次の版画や当時の旅道具の写真、北斎の絵、文化年間の江戸の中心部古地図、私も去年写真撮影した赤坂宿の大橋屋の30年前の写真だとか、グラフィック版というだけあってヴィジュアル的な情報が満載。
 そしてこの手の書籍で大切なのが、資料の出処や筆者。現代語訳は安岡章太郎(芥川賞受賞作家)、編集委員に名を連ねるのが吉行淳之介(安岡の友人ですね)、円地文子など。
資料の出処は図版目録として細かく書いてあり、十返舎一九画の画帖は吉田幸一という人の個人所蔵からで、カラーで18枚も載っていて私はこれだけで十分価値アリと判断しました。
そして、初めて見た一九が描いた自画像。えーうそでしょお~ってくらい他の肖像画と比べるとヘンな人だし、絵の上手な一九にしては全然下手だし、これじゃしなを作った坊さんじゃないですか~?ま、彼らしく自画像なんていい加減に描いたんでしょう。
 それから、この本の信頼性を示しているのが、人名表記。広重は「歌川広重」だし、馬琴は「曲亭馬琴」で統一しているところ。これは重要です。
北斎が「葛飾北斎」なのは仕方のないことですが。もちろん解説には蔦屋重三郎も出てきます。


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