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林与一版「怪談 牡丹灯篭」

2012年10月16日 | ★恐怖!な映画

録画したことをうっかり忘れていて

シーズンオフの「牡丹灯篭」を見た。

牡丹灯篭というと

「夏もの」と自分で位置づけているので

秋も深まった頃に見るのは新鮮だった。

 

見てビックリ!!

憂いがあって美しく、色気がある林与一の新三郎には

心底陶酔させられた。

 

周囲の進言を受けて、

一度は亡霊であるお露を忌み遠ざけようとするが

思いを断ち切れずに自ら進んでとり殺されてしまう。

狂気じみた恋狂いの話である。

他の作品と違うのは

お露が新三郎の亡き妻に瓜二つ・・というところ。

つまり

ひとりの女の魂が死に変わり、生まれ変わり新三郎にとりつくという

ぞぞぞ~~とする筋書きなのである。

 

お露は「魔界転生」でも将軍をメロメロにした魔性の女として名高い?

佳那晃子なので、文句無しに

テンション高まります!

思わずこちらもあっちの世界に引き込まれていくような

圧倒的な滅びの美があった。

これぞデカダンス!

 

夏の長屋の風情も楽しめた。

新三郎を気遣う伴蔵に谷啓。

幽霊との取引は

省かれていた分、二人の悲恋にスポットが当てられていた。

他に殿山泰司、山形勲。

忘れていけないお露の付き人、

お米には八木昌子。お米ってなにげに重要な役割。

お露が弱気になると励ましたり、新三郎を脅かしたり

別作品では伴蔵と取引してお札を剥がさせる、

逢引の時はそっと障子越しに控えるとか

なかなかのやり手でなければ勤まりません。

ガードマン兼マネージャーみたいなもの?

 

八木昌子さんは大島渚の「悦楽」でデビュー。

寂しげな風情で薄幸の女性を演じることも多いけど

官能的な役など幅広い役をこなす印象的な女優さんですね。

それにしましても、

男に取り付いてあの世までひっぱっていく女も女だけど

とりつかれてしまうのも無理ないかもというくらい

凄みのある色気を持つ林与一の演技には肝が冷えました!!

歴代新三郎役者の中ではダントツと断言します!!

 

周囲がなんと言おうとも

恋が成就できて良かったね!と思える、恐ろしくも美しい美しい物語でした。

フジテレビ長編時代劇ドラマ

時代劇専門チャンネルにて

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