邦画ブラボー

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「街燈」

2011年03月06日 | ★痛快!な映画
テレビでは「70年代のファッションが今年のトレンド」って言ってたけど
私の中では
50年代が熱い!!
神保町シアターで上映している
女優とモード 美の競演」でまさしくそんな時代の
ファッションを観ることが出来る。
日曜の午後、中平康
「街燈」を観ました。ほぼ満席の盛況ぶり。
衣裳は森英恵。
 
銀座で洋装店を経営している吟子(月丘夢路)と
渋谷で可愛らしい洋装店を営んでいる
千鶴子(南田洋子)の周りの
にぎやかな人間模様をユーモアを交えてスタイリッシュに描く。
 
50年代のファッションは
大人の女性を美しく見せる。
細川ちえ子に豹の毛皮はどんぴしゃりだと思ったけど
山岡久乃にミンクがあんなに似合うとは!!
私の知ってる女将さん役の山岡久乃とは違う、
バリバリの有閑マダムがそこにいた!
 
 
千鶴子や吟子にいたっては
ヘアスタイル、仕事着にお洒落着に寝巻きまでお洒落。
 
二人の美貌にも目を奪われる。
カタチの良い唇からこぼれる
美しい言葉にもうっとり。
あの時代の丁寧な言葉遣いがごくごく自然。
 
南田洋子ってなんて綺麗だったのでしょう。
そして月丘夢路の演技のうまさ、エレガントな身のこなしは
同じ人間とは思えません。
あたりに金粉が、ラメが散りばめられているような
オーラが。
 
さらに可愛らしいインテリアの小物も
見逃せない。
テキスタイルは幾何学模様だったりして
 
萌えすぎで息が~~~!!
 
マシンガントークのお転婆令嬢(鳥子)役の
中原ひとみ、奇妙奇天烈な洋服に
妙な形の車をすっ飛ばしていて可笑しい。
  
男性陣ファッションは女性に比べてダサいです。
南田洋子と恋仲になる葉山良二の普段着ファッションは
着古したセーター、素足に下駄、と
ファッショナブルとは言いがたいし
吟子のツバメ役岡田真澄の
だだっ広いスーツははっきり言って野暮ったい。
でもそれがまた味。
 
それにしても
 
戦後まもない時代、こんな華やかな映画を観た人は
どれほど晴れ晴れとうっとりとしたことでしょう。
岡田の実家があるバラック横町や
靴磨きをして働く幼い子供たちなども描かれていて
当時の世相が伺えますが。
 
 
夜の街での格闘シーンや
靴磨きの子供たちの逃走劇は
アメリカ映画を思わせるし(「第三の男」チック)
最初シャンソン風のテーマソングで始まり終わりもまた
この唄で締めくくるなど
スミからスミまで中平好みのモダン。
 
カッコイイのに心温まる映画ってそんなにないですよね!
 
始まる前、場内に流れていたのは
川島雄三「銀座二十四帖」の主題歌「銀座の雀」
(歌っている方がいた!)
観た後の幸福感が似てます。
 
余談:吟子(ぎんこ)鳥子(とりこ)
って名前も素敵~~
 
 
1957年 中平康監督作品