邦画ブラボー

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「綴方教室」

2008年11月26日 | ★人生色々な映画
昭和初期、鈴木三重吉が奨励した
教育運動に生活綴方運動があった。

綴方とは今で言う
作文」のこと。

貧しいブリキ屋一家の生活を
少女(高峰秀子)の「綴方」を通して生き生きと描く。
原作者豊田正子の自伝的な作品。

暖かい部屋のソファでふんぞり返って
このコーヒー薄いな~などと
ぼやきながら見始めたが、冒頭が始まるやいなや
思わず床に下りて正座してしまったくらい
一家の貧乏暮らしはすさまじい。

様々な苦難が一家を襲うが
トーンはあくまでも明るい。

家族の絆、師弟関係
長屋の近所付き合いなどが細かく描かれており、
かつて日本人はこんな風に暮らしていたのだろうな~~~

懐かしさを覚えると同時に
もはやはるか彼方の世界のように感じられてしまう。

子役時代の高峰秀子はたまらなく愛くるしいお顔に
手足がすらりと長く、小学校5年の役ながら
母親役の清川虹子と同じくらいの上背がある。
つんつるてんの着物から、にょきっと形のいい足がはみ出してキュート。
デコちゃんが読む綴方のナレーションは
「自然」というよりは多分に技巧的なのだけど
それがまたいつまでも聴いていたいような心地よいわざとらしさなのである。
さすが天才子役!プロ!
この頃からすでに「泣き」は天下一品で、
「浮雲」での森雅之相手に愚痴って泣く名演技の片鱗がある!

父親役は徳川夢声。演じているのは初めて見たが
いい味のオヤジを熱演していた。
ラストは希望に満ちていてほっとする。

生活をありのままに綴ろうという綴方運動は
この後に起こる太平洋戦争によって中断を余儀なくされたそう。

製作主任の中に黒澤明の名前がありますね♪

1938年
監督…山本嘉次郎
脚本…木村千依男
原作…豊田正子
製作…森田信義
製作主任…黒澤明
音楽…太田忠
撮影…三村明
美術…松山崇


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