邦画ブラボー

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「朱雀家の滅亡」

2008年02月26日 | ★人生色々な映画
東京のどこかではこのような芝居が
ぽつぽつ上演されている。
あまり大っぴらに宣伝もされないので私などほとんど見逃してしまって
終演してしまってから地団駄踏んでいる。

テレビで
劇場中継「朱雀家の滅亡」を観た。

太平洋戦争末期、息子(窪塚俊介)を戦争に送り出す
中山仁扮する華族の長と
その妾で、女中のおれい(佐久間良子)。
佐久間は自分が産んだ子であるにもかかわらず、
窪塚を「若様」と呼んでいる。

舞台から並々ならぬ気迫が迫ってくる。

三島の舞台ならではの流麗な台詞が飛び交う格調高い舞台。
現代語とは一線を画す言葉の応酬に
とまどいながらも徐々にどっぷりと浸っていく。

金田龍之介の代役として出た中山仁もよかったけど
しずしずとしたたたずまいの
佐久間良子の変貌(後半)にはたまげた。
高潔な夫をののしる本音の嵐。

窪塚俊介も一本鉄の棒が体に通っているかのような
びしっとした立ち姿からして
当時の若者を髣髴とさせた。

華族の崩壊を通して人間は
何のために生きるのかを問う。
三島由紀夫の煩悶がそのまま舞台になったかのような芝居。
俳優の渾身の演技を堪能した。

ただ、
歌舞伎を見る際にも時々感じるけど、
気になる、気に障ることがひとつ。

あきらかにそういう場ではない箇所で沸き起こる「笑い声」だ。
せっかく入り込んで見ているのに一気に白けてしまう。
ちょっとした言葉のあやなどでそれは巻き起こる。
演出に笑いを取り入れた芝居が多いせいなのだろうか?

三島の舞台に笑いは無いでしょう。

「あうるすぽっと」にて 録画中継
原作 三島由紀夫
演出 宮田 慶子

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