思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

何かと酷い目に遭う主人公

2020-09-09 12:14:59 | 日記
何かと酷い目に遭う主人公が好きです。

いきなり何言ってんだって感じですが。

怪異と怖い女に巻き込まれてなにかと酷い目に遭う
猿渡くんや、(津原泰水<幽明志怪シリーズ>
宇宙でせっせと借金取りに励みつつSF的にも日常的にも酷い目に遭う
主人公「ぼく」(宮内悠介『スペース金融道』
みたいなのが好きなんです。

ワトニー(アンディ・ウィアー『火星の人』)にいたっては
好きすぎてやばい。
とはいえ、ワトニーの特大災難より、
日常的に酷い目に遭う前者たちみたいな方が小説としては好みです。
ワトニーは別枠殿堂入りだけど。

酷い目に遭いながらも、飄々と、粛々と、
災難の波を乗りこなす感じが好きなのかな?
と自問自答しますが、よくわからん。

そういえば、遠い昔、兄が買っていた少年サンデーの
『GS美神極楽大作戦』の横島くんも好きだったんだよなあ、
なんてことを思い出しました。

別に不幸話は好きじゃないんですよね。
むしろ読みたくない。
酷い目に遭いつつ、元気な人の話を読みたい。
そういうジャンルってないのかな?
SFとかミステリみたいに、
「酷い目に遭うけど元気です」枠みたいなのが
Amazonの検索タブにあったら、めっちゃ見るのになあ。
まあ、何言ってんだって感じですが。

今日も暑いなあ。
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原尞『それまでの明日』ハードボイルド!

2019-12-23 11:21:31 | 日記
原尞によるハードボイルド探偵<沢崎(さわざき)シリーズ>の、
実に14年ぶり(!)の新刊だそうです。
遅筆に磨きがかかってます。

そして沢崎はもう50歳!

ハードボイルド探偵はススキノの人と言いマーロウと言い、
粛々と歳を重ねますね。
言動はあまり変わらない気がするけど。

今回は、「紳士」の依頼を受けたら強盗事件に巻き込まれて
あれやこれや…という長編。

紳士があまり紳士じゃない気がするけど(ポイ捨てはよくない)、
ハードボイルドは楽しい。

作者はチャンドラー好きを表明しており、
各章の最初の一文でチャンドラー大好きっ子らしい
「比喩」をがんばってるのも見どころ(かもしれない)。
私はあまりナイス比喩!とは思わなかったけど(すみません)、
ナイスファイト!とは思いました。

なにはともあれ、私はハードボイルドと名前不明の主人公
猿渡くんとか、うぬぼれ刑事とか)が大好物なので、
結構好きです。だいぶ好きです。


次の新刊は20年後とかですかね…。
がんばっていただきたい…。
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【読書メモ】2010年12月 ②

2019-05-09 11:39:52 | 【読書メモ】2010年
<読書メモ 2010年12月 ②>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『タイムスリップ・コンビナート』 笙野頼子
この人、苦手なのに懲りずに読んでしまった。
マグロと恋愛する夢を見たことを、ずっと引きずっているのが良かった。
絲山秋子とたまに印象が被るけど、こちらの方が崩壊していて着いていけない。

(『タイムスリップ・コンビナート』は第111回芥川賞受賞作(1994)。
 これ以前に、『金毘羅』(2005)を読んでいます。
 くり返しになりますが、難解すぎて7割以上わからなかった。
 あと、9年前の私に伝えたいが、絲山秋子とは印象被らんよ)


『f植物園の巣穴』 梨木香歩
主人公が女の子だと、ちょっとウェットになりがちな人だと
個人的に思っている。
(西の魔女とか。そっちの方が売れてるけど)
なので、主人公が男だった時点でホッとして読んだ。

(ウェットというか、私は思春期の女子が主人公の物語が
 本能的に苦手で読みたくないのです。
 自分の10代の頃の痛々しさと暗さを思い出すからね!
 『西の魔女が死んだ』とか湯本香樹実『夏の庭』とか
 とにかく苦手。作家さんとしては良いのだけど、テーマが苦手。
 完全に個人的な問題である)


『私が殺した少女』 原りょう
ハードボイルドもの。面白かった。
なんでハードボイルド探偵はよくわからない悪態をついたり、
敢えて殴られたりするんだろうね。
という理解できなさも込みで、なんか良かった。

(第102回直木賞受賞(1989)。
 <私立探偵沢崎シリーズ>の第2作目。
 作家の真壁氏からの依頼で、誘拐された一人娘(天才ヴァイオリニスト)
 の身代金を運んでほしいと頼まれ…。
 というお話し。
 ちなみに沢崎の下の名前は非公表。猿渡くんと同じですね。

 この作品、ミステリ名作枠に入っているようで、
 <文春ミステリー20世紀国内編>で14位とか、
 <このミステリーがすごい!ベストオブベスト>
 (2008年までの20年分のベスト20内が対象)で3位とか、
 ロングスパンでのミステリランキングでよく見かけます。

 おもしろかったです)


『生ける屍の死』 山口雅也
アメリカの小説を翻訳した風の文体が上手い。けど、鼻につく。
アメリカンコメディ風なのか、くだらない演出が多かった。
棺桶特急とか。

(総じて、なんだこれ、って感想でした。
 しかし前述の <このミステリーがすごい!ベストオブベスト>で
 堂々の2位である。なんだそれ)
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2018年の読書ふりかえり

2019-01-16 17:07:38 | 日記
2018年も安定のポンコツでしたが、
それなりに読書を楽しめたので良い一年でした。

しかし年々、純文学を読む忍耐というか読解力というか
何かが失われていっている気がしないでもない。
文章を追いながら、別のことを考えたりもするし。

まあ、そんなポンコツ感も安定と言えば安定である。


◆2018年ベスト!!!
火星の人』アンディ・ウィアー
事故により火星に一人取り残された宇宙飛行士(兼、植物学者でエンジニア)
マーク・ワトニーの、ガチ火星サバイバルです。
ワトニーかっこいい…。
第46回星雲賞海外長編部門 受賞
「SFが読みたい! 2015年版」ベストSF2014海外篇1位
等、賞歴もありますが、とにかく文句なしにおもしろいので、おススメです!


◆2018年次点!!
『泣き虫弱虫諸葛孔明』酒見賢一
酒見先生によるありがたくも時々眉唾な孔明論。
私は『三國志』を人生で読んだことが無かったので、
ものすごく興味深く且つ面白く読みましたし、
めちゃくちゃ勉強にもなった!とありがたい想いでいっぱいです!
が、『三國志』に造詣の深い友人に薦めたところ、全くハマらなかった…。
やはり好みがわかれるようです。
でも私は好きです!壱部から参部までが特に楽しいです!
第壱部
第弐部
第参部
第四部
第伍部


◇2018年読んで良かった!!

犯罪』フェルディナント・フォン・シーラッハ
「犯罪」にまつわる短編集で、
作者はベルリンで刑事事件担当の弁護士として働いていた人物。
どれもこれも、文学でいて写実っぽい。なんだか妙に深い。
ページ数も少ないので、だまされたと思って読んでみてほしい一冊です。


平成大家族』中島京子
2018年は中島京子さんの良さを再発見できた年とも言えそう。
この作品が一番好きですが、『妻が椎茸だったころ』も同じくらい好きかも。
全作品読破できていないので、今年も楽しませていただきます。


雪沼とその周辺』堀江敏幸
連作短編集として谷崎潤一郎賞を受賞しています。
良い文学体験が味わえる、静かでキレイな一冊です。
気もちが凪いでいる時期に美味しいお茶と一緒に読みたいです。
(しかし残念ながら、始終ざわつき気味な私である…)


スペース金融道』宮内悠介
『ナニワ金融道』宇宙版みたいなエンタメ小説です。
が、SF的なガジェットや、宇宙だろうが変わらない金融関連の知識は
とてもおもしろいです。
あと主人公が何かと酷い目に遭う愛すべきダメ男で、
猿渡くんが好きな人には特におススメです!
(そういうジャンルあるのかな…)


◇まだお時間おありでしたら、こちらもおススメです

スタッキング可能』松田青子

ルピナス探偵団の当惑』『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水

スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀

ぼくのともだち』エマニュエル・ボーヴ


というわけで、今年も楽しい読書がたくさんできるといいなあ。
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津原泰水『ルピナス探偵団の当惑』

2018-06-05 11:34:07 | 日記
津原泰水『ルピナス探偵団の当惑』を読みました。

猿渡シリーズ(怪異と怖い女ばかり寄ってくる猿渡くんというダメ男が
何かと酷い目に遭うという短編シリーズ)
が好きで、この作者の他の作品も読もうと思っていたのでした。

ルピナス探偵団シリーズは、元々は津原やすみ名義で
ティーンズ向けに書かれていたものだそうです。
だからというわけではないですが、
結構キャラが立っています。
それが、大人が読んでも魅力に感じられる造詣なのです。
テンポ良い会話も、この頃から作者らしさが出ていて良い感じ。
あっという間に読了しました。

ルピナス探偵団こと、主要メンバーは、
聖ルピナス学園に通う彩子(さいこ)、キリエ、麻耶、
プラス、彩子の憧れの人である祀島(しじま)くん。

彩子の姉であり、刑事でもある不二子
(良い感じにハチャメチャなキャラである)とその上司に
事件に巻き込まれる(もしくは自ら顔を突っ込む)
という構成での、短編ミステリ3篇です。

『冷えたピザはいかが?』は、いきなり犯人の名前から始まります。
古畑任三郎形式、と言うと怒られたりするんでしょうか。
謎のメインは、犯人はなぜ、冷えたピザを食べたのか。
キャラ立ちしたメンバーの登場篇として、とても面白かったです。
祀島くんの博学な割にピントがずれてる感じが良いし、
不二子姐さんのフリーダム感も良い。
謎解きの部分は、理詰めすぎて、逆にわかりにくかったかも。

『ようこそ雪の館へ』で、祀島くんが探偵役に。
私的には、祀島くんにはぐいぐい前面に出るより
我が道を歩んでいてほしかった……。
青い薔薇のうんちくがふんだんに語られていて、
作者は青薔薇(もしくは『虚無への供物』)がホント好きだなあと
どうでもいいですがシミジミしました。

『大女優の右手』
完全に祀島くんが探偵です。
それはさておき、舞台で演じられているのは
尾崎翠の『琉璃玉の耳輪』です。
これ、後に原案・尾崎翠、小説・津原泰水の名義で
小説化されているようです。あとで読もう。
そして、完全に探偵になったと思った祀島くんでしたが
その裏には犯人の本当の動機を隠ぺいしようという
たくらみが……、
って、何?よくわからない?
ちょっと心の動きが複雑すぎない?
裏の裏まで上手に読み込めなかった感が……。
私の不徳の致すところである。

まあ、いいや。
ミステリとしての「スッキリ感!」はさておき。

彩子・キリエ・麻耶・祀島くんの関係性や
会話の小気味好さは、読んでいて気持ち良いです。

続編『ルピナス探偵団の憂愁』もあるらしいので
(どうでも良いですが、
どっちが先かわかりにくいタイトルである)
そちらも読む予定。

難癖つけてる感がありますが、
結構、おススメな良作です。
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