思惟石

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【読書メモ】2011年1月 ②

2019-05-15 16:02:07 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年1月 ②>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。

『貴婦人Aの蘇生』小川洋子
独特の世界を持つおばあちゃんと、それを見守る若い女性。
おもしろかった。アナスタシアが出てきたのは意外だったけど。

(古い剥製だらけの古い洋館に住む、自分のイニシャル「A」をひたすら
 刺繍し続ける老女。って、ホラーかよ、という舞台設定ですが
 そんな奇妙な設定で、なぜか魅力的で美しい物語を紡ぐ小川洋子さん。
 すごいわ。
 『博士の愛した数式』が売れすぎてしまいましたが、こういうシュールで
 ヘンテコだけど、静謐で寛容な世界観、好きなんですよね。
 『沈黙博物館』とか。)



『カルトローレ』長野まゆみ
空想の料理だろうけど、出てくる食事のレシピがおいしそうだった。
こどもの頃は、ヨーロッパの耳新しいスイーツとか、
どういうもんか分かってないのに憧れたみたいな。
昔のマカロンは不味かったなあ。

(小川洋子からの長野まゆみである。私、疲弊していたんだな…。
 ふんわりした物語に癒されたかった時期だったようです。

 長野まゆみはさほど読んではいませんが、10代のころに読んだ
 『月の舟でゆく』がとにかく印象的でした。
 ご本人も意識していたみたいですが、宮沢賢治の童話っぽい感じに加え、
 独特の世界観やモチーフ、ちょっと古い言葉遣い等が
 すごく魅力的且つ衝撃的だったんですよね。

 『カルトローレ』も架空の世界が舞台の、幻想的でおとぎ話的な物語。
 内容紹介に「秘密が明らかになる」的な煽りがありますが、
 そんなにスッキリ明らかになりません。
 それが良い、と思える不思議な世界観と、地に足着いた日常。
 暮らしのディテールが良いんですよね。
 架空の植物や沙漠の砂や料理のレシピ…。うっとり。

 ちなみに「昔のマカロン」は、メレンゲクッキーの間違いです。
 こどもの頃に初めて見たメレンゲクッキーが、とても軽やかで
 不思議な質感でとにかくおいしそうで、衝撃的だったんです。
 食べてみたら期待したのと違う味と食感で、さらに衝撃だった…)



『紙魚家崩壊 九つの謎』北村薫
いまいちです。

(癒されたい気分だったので、不満があったのでしょう。
 表紙からして癒しとは程遠いけどな。むしろ、なんで読んだんだろう。

 「ミステリ短編集」を謳っていますが、作風はバラバラです。
 サイコサスペンス系もあれば日常の謎系もあります。
 98年以降、新作がまったく出る気配のなかった「円紫さんと私シリーズ」の
 『白い朝』もこちらに収録されています(2006)。が、
 本来納まるべきシリーズ最新刊『太宰治の辞書』に再収録されました)
コメント
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