思惟石

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高島雄哉『ランドスケープと夏の定理』これがハードSFってやつか!

2019-05-21 13:48:12 | 日記
第5回創元SF短編賞受賞作にして、高島雄哉のデビュー作でもある
『ランドスケープと夏の定理』。
好意的な書評が多く、気になっていたので、読んでみました。

これがハードSFってやつか…!

想像以上に理論部分がゴリゴリで、
私の脳みそでは大部分が理解できませんでした…っ!!

でも、感想としては、すごくおもしろかった。
理解はさておき、読めたし、楽しめた!

三つの物語と、三つの定理。
姉と弟と、妹。
夏と冬と、再びの夏。

天才宇宙物理学者の姉テオと、
その姉に人生まるごと振り回されている
自称「天才ではない」けど、まあ、それなりにだいぶ天才だろ、
と突っ込みたくなる弟ネルス。

と書くと、なんだかキャラモノっぽく見えると思いますが、
ハードな物理というか数学というか哲学というか、、、
脳みそ使う系のゴリッとした部分が多いので
読んでいる方も話しに付いていくのに必死と言うか、
キャラ萌えみたいなことをしているヒマはない。
(というのは私だけか…!?)

知性定理(?)とか量子ゼノン効果(?)とか、
存在可能な宇宙の総体としてのランドスケープ(?)とか
理論の籠(?)とか「情報=演算対」(?)とか、
自称「天才ではない」主人公の一人称で、
読みやすくライトなテンションで説明されるのだけれど、
まあ、わからないな!
わからないなりに、楽しく読めた。
小難しいと言いつつ、おもしろかった!

三つの定理は、
解説でとてもわかりやすく整理されていたので
メモっておきます。

(ちなみに解説では
「ネタバレが気になる方は本編読了後にお読みいただきたい」
とも書かれているのですが、
私の理解力では何がネタバレに直結するのか理解できませんすみません。
が、一応、自己責任で読んで頂ければと)

第一定理:あらゆる知性の型が互いに翻訳可能。
第二定理:現存する様々な理論は強制的に時間発展することが可能。
第三定理:未来の理論を翻訳して理解できるようにすることが可能。
(引用ここまで〜)

で、第一定理が「夏の定理」(夏に発見したから)。
第二定理が「冬の定理」(冬に発見したから)。
もうね、難しいことはさっぱりわからないけれど、
こういう「気分」があるのが魅力的である。ありがたい。

あと、ネタバレついでの感想ですが、
突飛な姉がアウスゲイルをゲットしたのは理解できますが、
基本的にシスコンでへたれで姉並に人の機微に疎い
弟ネルスがベアトリスをゲットできたのは、解せないな。
コメント
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