思惟石

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高野文緒『カラマーゾフの妹』おもしろいと思う

2018-07-27 17:13:27 | 日記
『カラマーゾフの兄弟』を読んだのは
もはや10年前。
私のぽんこつ脳みその割には
記憶に残っている物語でもあります。

そして高野文緒『カラマーゾフの妹』です。
江戸川乱歩賞受賞。

確かにドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は
二部構成で構想されていた作品です。
そんでもって、第一部である『兄弟』を書き終えた直後に
作者は59歳で亡くなってしまったのです。

私が楽しませてもらった光文社版を訳した亀山郁夫氏も
続編の内容を予想する著作を出しています。
(『『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する 』(光文社新書))

しかしね、このテーマで書いたってのが、すごい勇気だと思います。

『カラマーゾフの妹』冒頭の「著者より」には、
誰もが躊躇するだろうが前任者の偉大さを気にしなければ
書けるといった内容で、とはいえ、やっぱり、
すごい勇気が要ったんじゃないかな……と
凡人は思ってしまう。
まあ、余計な心配でしかないですけどね。

さてさて、そんな『カラマーゾフの妹』は、
『カラマーゾフの兄弟』の13年後が舞台。

父殺しの犯人としてシベリア送りになった長兄ミーチャは死に、
末っ子アリョーシャは相変わらずスコトプリゴニエフスク(舌を噛む!)
に住んでおり、そこに次兄イワンが事件の再捜査に来るのが物語の発端。

真犯人を探そうと思ったら、
トロヤノフスキーとかいう好青年が新登場し
(オマケで名探偵ホームズ氏らしき人物がちょこっと言及されている)、
新たな殺人事件が勃発したと思ったら、
イワンはアレだし、アリョーシャもアレだし……。

というわけで、結構テンポ良く展開を楽しめます。

あとがき代わりの対談で亀山氏が「ある種のキッチュとして楽しめた」
みたいな評価をしていて(それも好意的に)、
これには私も共感しました。

文豪ドストエフスキーの代表作の正当な続編!というより、
こういう解釈も楽しめるよね、という感じで、
リラックスして読むのが良い楽しみ方だと思いました。

真犯人の心理とか、おもしろかったし、納得もできましたし。
19世紀後半のロシアの空気感や、
科学・宇宙・政治の時代性も楽しめました。

亀山氏の『『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する 』も
読んでおかなきゃ。
というか、『カラマーゾフの兄弟』を読み返したい。
しかし長い!

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