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東山彰良『流』70年代台湾の青春!新鮮!

2020-09-24 09:50:02 | 日記
台北生まれの主人公が語る、青春期と一族の物語。

物語の土台に存在するのは、
大陸で国民党として戦い、一族を連れて台湾に渡った
祖父の存在。
だいぶエッジーなおじいちゃんです。

おじいちゃん世代の、
国民党対共産党、身内を殺され、殺し返す、
なんともいいようのない歴史的背景がありまして。

さらに、移り住んだ台湾では、
本省人(日本統治下を経験していて、抗日派もいれば親日派もいる)と
外省人(主人公含む、大陸で抗日戦争を経た後、共産軍に追われて台湾に渡った人々)
との複雑な関係性もありまして。

ついでに時代は、大陸との行き来が禁じられている「戒厳令下」である。

それでも10代はケンカしてヤンチャして恋をする。
元気があって良し!
70年代の台湾で暮らす主人公がアメ車に乗って
ビートルズ聴いてディスコでデートするの、
そういう時代だよなあと思いつつ、意外というか新鮮というか。
私が台湾のことを何も知らないってことなんですが
ある種の目ウロコでとっても面白かったです!!

なかなかシリアスな時代背景と、
タフで危うい10代の日々と、
濃ゆい「家族」「兄弟分」などの人間関係が描かれていますが、
文章が軽快で、すごく読みやすいのも良い。

内容が「軽い」わけじゃないけど、
飽きさせないというか、カラフルというか、
良い意味で雑多感がある笑

冒頭で祖父が殺されて、ちょっとミステリっぽいのか?と思いきや、
幽霊が出て、ゴキブリも出て、お狐様も出る。
色々出るなあ笑
大学行くかと思えばヤクザにカチコミ行ったり兵役に行ったり
いろんな出来事がワヤワヤしているけれど、
その騒がしい感じが、良い。
すごく良い!!!

主人公の語りも良いし、図太い性格も良い。
というか文章が良い(作者はガルシア・マルケスが好きだそうで、
納得である)。

私、10年前くらいに台湾旅行して、
小籠包と魯肉飯をたらふく食べて
故宮博物院で角煮と白菜のヒスイに感動したんですが。
台湾の歴史や微妙な政治的立場、ぜんぜん知らなかったなあ、と。
反省と勉強もできます。
また行きたいな!台湾(屋台の肉まんもおいしかった)!

台湾旅行も良いんですが、それはさておき、
要するに『流』は良い。すごく良い。
第153回直木賞受賞(2015)。

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