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『灯台守の話』海辺を旅したくなる物語

2021-06-25 11:54:37 | 日記
『灯台守の話』
ジャネット・ウィンターソン
岸本佐知子 訳

崖に刺さった斜めの家(これだけでもおもしろいな!)で育ち、
10歳で孤児になった女の子シルバーの物語。

ハーネスをつけていないと崖に落ちる斜めの家。
って、導入から魅力的で引き込まれる。
傾いているので、パンケーキをひっくり返すのに最適らしい。
ポジティブ!

とはいえシルバーはあっという間に孤児になってしまい、
灯台守で盲目のピューに引き取られます。

「光のお世話をする」ことと「物語を語る」ことを
ピューに教わる、幸せな(振り返らないと気づけない類いの幸せで、
切なさもあるけれども)数年間。

ピューは、100年前に街に住んだ偏屈宣教師
バベル・ダークの物語を語ってくれる。
物語には、『種の起源』のダーウィンや
『ジキル博士とハイド氏』で有名なスティーブンスン
(祖父は灯台建築専門の技師。史実)も登場します。

灯台を追われ、いつの間にか海辺の街を渡り歩き
成長したシルバーが「愛するあなた」に出会うくだりは、
ちょっと不思議というか難解というか。

とはいえ、良い物語。
ダークは水底に沈んでしまったけれど
(深海がお似合いな男なのである)、
シルバーは愛と人生を肯定できたと思える。

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