思惟石

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『機巧のイヴ』世界観独特系ファンタジー

2022-04-08 14:33:39 | 日記
『機巧のイヴ』乾緑郎

立て続けに
「世界観の独創性」押しファンタジーである。

『機巧のイヴ』は帯に「時代劇×SF」みたいな書かれ方していて
ちょっと損しているんじゃないかな。
それだと山田忍法帖っぽく思われないか?私だけか?

どちらかというと、根底に王道SFの感じがある。
命はどこから来るか、とか、進みすぎた技術を人は使いこなせるのか、
みたいな骨太なSFが提起しがちな「深淵なる問い」みたいなものが
コアにあるというか。
まあ、適当なこと言ってますけど。

で、舞台は江戸時代のパラレルワールド的な、「天府」。
機巧人形(オートマタ)を巡る連作短編集。
なんか、ごちゃごちゃ言ってしまいましたが、おもしろかったです!

吉原の町が一つの建物にまとまったような「十三層」や、
女系が継ぐ「天帝」、船での出張サービスもしている「湯屋」に、
古代中国の伝統が元ネタらしいコオロギを戦わせる闘蟋(とうしつ)。

江戸時代にあったような、なかったような、
絶妙な文化が描かれていて、おもしろいです。

機巧人形の命はどこから来るのか?という問いはあるのだけれど、
そういう哲学的問いよりも、
各短編でのストーリーテリングや登場人物の意外性がおもしろい。

三部作らしいので、続きも読んでみよう。

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