思惟石

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『聖の青春』 ムネアツだし胸が苦しくなるし読んだほうがいい

2023-04-24 15:49:27 | 日記
『聖の青春』
大崎善生

重病を抱え29歳の若さで亡くなった棋士・村山聖(さとし)の
一生を描いたノンフィクション。

ネフローゼという腎臓の病気で、
村山は小学校時代のほとんどを療養所の寮で暮らす。
こども時代に家族と離れて闘病し続けるのは
本当に大変だと思います。
考えると胸が苦しくなる。

その後、中学生になりプロ棋士を目指すと、
単身大阪に出て師匠・森信雄宅に居候する。

おお!
療養所からいきなり独身三十路男の家か?!
ずいぶんとハードな生活始めたな!!大丈夫か?!

私は勝手にハラハラしたけど
(毎食外食だし、麻雀のお供するし、師弟そろって風呂も歯磨きも嫌いだし)
仲睦まじい師弟関係が築かれていき
将棋を通じて交友範囲も世界も広がっている様子を見ると
また胸が苦しくなる。

一冊通じてずっと胸が苦しいんですけど。
というムネアツな本です。
みんな読んだ方がいい。

この作品の著者は将棋雑誌の編集者だったそうです。
将棋会館にも詰めていて日ごろから棋士と交流があるし、
村山や師匠の森信雄とも直接親交があった人物。
なので、奨励会からプロ棋士になった経緯や、
将棋を通じての人間模様などが生き生きと描かれています。

同期たちとの学びや遊び、喧嘩の様子。
そして病気を抱えながらの棋士生活のこと。
試合で負けたあとは熱を出して寝込むことが多いとか、
将棋会館まで歩いていけない状態でも、
数十時間に及ぶ勝負から離脱しない様子など。
読んでいて心を揺さぶられるシーンが多いこと多いこと!

とにかく将棋に対しての熱量がすごい。
文字通り命を削りながら取り組んでいる様は手に汗握るというか。
陳腐なこと言っちゃうけど、ドラマよりドラマチックです。

村山はいわゆる羽生世代。
阪神大震災直後の羽生対谷川戦(さすがに有名なので私でも知っている)
の描写もある。
涙なしには読めないし、めちゃくちゃ胸が熱くなる。
そしてずっと胸が苦しい。
読め!!

実はこの本、ずっと積読だったんですよ。
タイトルと表紙で、ちょっと、「泣かせにくる系」の
あざといヤツかな?と疑ってしまって。
数年間読まなかった自分に説教したいですね!
積むな!!

ちなみに、読み始めてすぐ画像検索してみたんですが。
検索後の第一声は「二階堂くん!」でした。
『3月のライオン』の熱い漢(おとこ)のモデルらしいんですね。
将棋好きの界隈では有名なのかな?

何はともあれ、読んだ方が良い。

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