思惟石

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『名画の謎 ギリシャ神話篇』 ギリシャの神々どうかしてるぜ

2023-04-25 15:57:34 | 日記
『名画の謎 ギリシャ神話篇』
中野京子

<名画の謎>シリーズの文庫化第一弾。
雑誌『オール讀物』に連載していたものを再編集した本。
そういえば新約・旧約聖書篇も我が家のどこかにあったはず…。

それはさておき、ギリシャ神話は紀元前発祥なので、
当然、キリスト教以前が舞台だし
キリスト教的価値観(聖母的な女性像とか)は無い、
という中野先生の冒頭の説明。

めちゃくちゃ当然のことなのに、めちゃくちゃ目鱗だった。
さすが中野先生!!
ギリシャ神話でもリンゴのアイコンはよく登場するけれど、
エデンの園とごっちゃに考えるのは違うんだな。
とか。

ふわふわしたままだった知識が
キレイに磨かれる感じがする。
ありがたい。

以下メモ

・ゼウスのクズエピソードと好色エピソードはやばい。
 正妻ヘラの嫉妬エピソードもやばいし、
 愛欲の女神ヴィーナスや月の女神ディアナ(アルテミス)もやばい。
 ギリシャ神は全員やばい。

・アトリビュート:人物を特定するための小物
ゼウスは「鷲」「雷」「蠍(ギリシャ語のMが雷を表す)」
ヘラは「孔雀」

・トロイア戦争の発端は、3美神(ヘラ、ヴィーナス、ミネルヴァ=アテナ)
 が「最も美しき者へ」リンゴ争奪戦が原因。やばい。
 トロイア王の息子パリスが有名な「パリスの審判」で
 人間界イチの美女ヘレネを約束したヴィーナスにリンゴを手渡したせいで
トロイアVSギリシャ戦争になる。なんだそれ。

・パンドラはゼウスが人類を罰するためにつくった
 人類最初の女。なんだそれ。
 鍛治の神ウルカヌスが泥でこねた女体にゼウスが生命を吹きこんだ。
 アダムの肋骨からイブがつくられた話しとごっちゃになりがち〜。

・ギリシャ神話の典拠のひとつは紀元前700年頃に
ヘシオドスが書いた『神統記』。
 ギリシャ人、この頃から物語を紡いでいたのか。やばい。

・ピグマリオンはキプロス島の王様で自分が彫った彫刻に恋した人。
 ピグマリオン効果は教育心理学の言葉で、教師の期待度が高ければ
 生徒もそれに応えるというもの。
 神話の内容とちがくない?

・ヘルメスは神々の伝令役(パシリ)。
 商業、蓄財の他に泥棒、詐欺師、博打の神でもある。
 高級ブランドのイメージの真逆だった。マジか。

・ギリシャ神話は不条理に死ぬし、なぜか花になりがち。
 ヴィーナスがベタ惚れした人間アドニスは軍神マルスに殺されて
 アネモネの花になる。
アポロンの恋人ヒュアキントスはスポーツ中の事故で亡くなり
 ヒヤシンスになる。
 ナルキッソスはナルシシズムの発露から水仙になる。
 (水辺で俯きがちに咲くのは水面の我が身を見るため)

・ギリシャ神話とギリシャの神々はどうかしてる。
 めちゃくちゃおもしろい。

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